国鉄ホキ2800形貨車

国鉄ホキ2800形貨車

国鉄ホキ2800形貨車は、1970年（昭和45年）に日本国有鉄道（国鉄）が20両を製造した、35トン積載の生石灰専用ホッパ車です。当時、生石灰の輸送は国鉄所有の有蓋車や私有のホッパ車が用いられていましたが、モータリゼーションの進展によるトラック輸送への対抗策として、国鉄が専用のホッパ車を開発しました。

概要

製造は日本車輌製造が担当し、輸送機工業とのグループで製作されました。私有貨車であるホキ8800形との共通運用を考慮し、構造はこれに準じたものとなっています。車体は全鋼製で、側板や屋根には耐候性高張力鋼が使用され、耐久性が向上しています。

1979年（昭和54年）10月からは、化成品分類番号「94」（有害性物質、禁水指定）の標記が追加されました。

荷役装置として、屋根上には2,000mm×800mmの積込口が4箇所設けられており、蓋は左右どちらにも開閉できる構造です。荷卸しは車体両側下部の開き戸から行われ、作業効率を向上させるために油圧式の自動開閉装置が搭載されました。これは、ホキ8800形の電気式とは異なる点が特徴です。

車体の塗色は赤3号で、主要な寸法は、全長11,800mm、全幅2,734mm、全高3,470mmです。台車中心間距離は7,700mm、実容積は36.8立方メートル、自重は18.0トンです。換算両数は積車で5.5、空車で1.8となっています。台車はツナギ梁式のTR213-1が採用され、車軸は12トン短軸、枕ばねはコイルばね、軸受はコロ式です。

運用の変遷

ホキ2800形は、製造された20両のうち、ホキ2800からホキ2807までの8両は奥多摩駅に常備され、青梅線奥多摩駅と南武線浜川崎駅、または内房線蘇我駅の間で運用されました。残りのホキ2808からホキ2819までの12両は美濃赤坂駅に常備され、西濃鉄道昼飯線昼飯駅と新湊線新湊駅の間で運用されました。

1987年（昭和62年）の国鉄分割民営化に際しては、4両（ホキ2814、ホキ2816、ホキ2817、ホキ2819）が日本貨物鉄道（JR貨物）に継承されましたが、1995年（平成7年）までに全車が廃車されました。

参考文献

ネコ・パブリッシング『レイルマガジン』
吉岡心平「国鉄貨車教室 第21回」 - 2002年10月号 No.229 p.80
『日本の貨車-技術発達史-』（貨車技術発達史編纂委員会編著、社団法人 日本鉄道車輌工業会刊、2008年）
吉岡心平『RM LIBRARY 140 有蓋ホッパ車のすべて（上）』（ネコ・パブリッシング、2011年）ISBN 978-4-7770-5306-3

関連項目

* 国鉄の車両形式一覧

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