国鉄ヨ1形貨車

国鉄ヨ1形貨車の概要

国鉄ヨ1形貨車（こくてつヨ1がたかしゃ）は、日本の鉄道史において重要な役割を果たした事業用貨車です。この貨車は、鉄道省の前身にあたる日本国有鉄道に所属しており、1926年から1927年にかけて製作されました。この貨車は、木造の二軸客車を改造したもので、国鉄初の専用車掌車としての地位を確立しました。

背景と必要性

1927年、自動空気ブレーキを搭載した貨物列車が運行を開始し、車掌弁を備えた緩急車を1両連結すれば運行が可能となりました。しかし、小口貨物を運ぶ列車では、車掌だけでなく荷扱手を必要とする場合が多く、従来の合造緩急車ではスペースが不足する状況が発生しました。これに対応するため、ヨ1形貨車が製作されたのです。

改造の詳細

改造されたヨ1形とそのバリエーションであるヨ1500形は、元の形式ヨフ6000形およびヨフ7000形で、各606両と69両が製作されました。ヨフ6000形は出入台のない客車から改造されたのに対し、ヨフ7000形は両端に出入台が設けられた客車を原型にしています。また、改造により、車内には車掌弁、手用制動器、荷物棚に腰掛け、網棚、便所などが設置されましたが、元々老朽化した木造車体を使用したため、強度向上のために補強が施されたものの、限界がありました。

老朽化と廃車

昭和10年代には、増備された鋼製の新製車掌車（ヨ2000形）や有蓋緩急車（ワフ21000形）と比較して、ヨ1形貨車は老朽化が進み、ほとんどが廃車となりました。戦後もごく少数が残存しましたが、1950年には老朽貨車の処分が行われ、これらの車両は姿を消しました。事務的には1959年まで登録が残っていたものの、実際にはその時点で現存していなかったと考えられています。

改番とその後

1928年には改番が行われ、ヨ1形、ヨ1500形へと形式名が変更されました。この改番時点で既に登録を外れている車両も存在しましたが、ヨ1形では603両、ヨ1500形では64両が改番されました。

譲渡の歴史

さらに、ヨ1形貨車のいくつかは1943年に胆振縦貫鉄道へ譲渡され、その後この鉄道も国有化されました。譲渡された車両には、特にヨ299、ヨ460、ヨ557の3両が該当し、これらはト10からト12と改称されました。また、1951年には別府鉄道へ払い下げられたヨ391（元は九州鉄道ヘト32）もあり、こちらはハフ3となり、1965年に廃車となっています。

結論

これらの背景や改造の詳細、譲渡の歴史からもわかるように、国鉄ヨ1形貨車は日本の鉄道貨物輸送の歴史において極めて重要な役割を果たしました。その特徴的な構造や運用状況は、当時の交通事情を反映しており、鉄道ファンや歴史愛好者にとって興味深い存在です。

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