国鉄ワフ21000形貨車

国鉄ワフ21000形貨車について

国鉄ワフ21000形貨車は、日本国有鉄道の前身である鉄道省によって1933年から1939年にかけて製造された貨車の一形式で、特に有蓋緩急車として知られています。775両が生産され、主に老朽化した二軸客車の代替として利用されました。

概要

この貨車は初めての鋼製有蓋緩急車として、乗務員に優しい設備を採用しつつ、貨物室の大きさは15トン積みの有蓋車と同等ですが、貨物室自体は2トン積みの小型設計です。このため、鮮魚などの混載輸送には適さず、小口貨物の運搬に特化されています。一方、車掌室は広く設計されており、居住性に優れています。車掌室側には手ブレーキを設置した出入用デッキも備わっています。初期の段階では電灯やストーブはありませんでしたが、更新修繕の際にストーブが追加されました。

この形式の設計における特筆すべき点は、荷重の偏りを意識した軸距の長さで、4,200mmという長さが設計されています。また、軸配置は貨物室側に寄せられています。オーバーハングは貨物室側が1,215mm、車掌室側が1,615mmと異なっており、これらの仕様はその後の有蓋緩急車に引き継がれていきました。

特徴と技術

ワフ21000形の最高運転速度は65km/hであり、車軸は10トンまたは12トンの長軸が使用されています。これは太平洋戦争後に新製された同様の車体とは異なります。1938年から1939年にかけては、陸軍の要請により1両が中国北支に改軌されて送られましたが、その後の情報は不明です。

塗色は黒で、全長7,830mm、全幅2,640mm、全高3,685mm、総重量は9.3トンです。貨物室は2.0トンの貨物を満載でき、床には荷摺り木が設けられており、荷役用の鋼製引戸も装備されています。貨物室の床面積は5.4m²、容積は11.9m³です。

後に製造されたワフ29000形式やワフ29500形式ではデッキに仕切りが設けられたり、後部標識灯が設置されたりしていますが、ワフ21000形やワフ22000形式ではこれが行われておらず、必要に応じて可搬式の標識を使用していました。

運用と廃止

ワフ21000形は1968年のダイヤ改正で二段リンク化改造を受け、最高速度が75km/hに向上しました。一部の未改造車両は「ワフ121000形」として改称され、低速車両であることを示す「ロ」のマークと黄色の帯が引かれました。1968年末のもので、ワフ21000形は584両、ワフ121000形は114両が存在しましたが、段階的に廃車となり、1985年には全車両が運用を終了しました。

譲渡と保存

1977年にはワフ21120が西濃鉄道に譲渡され、昼飯線での推進運転用として使用されましたが、1990年頃から使用されなくなり、最終的には美濃赤坂駅に留置されていました。その後、2002年に廃車となり、いなべ市の貨物鉄道博物館に譲渡され、現在も保存されています。

参考文献

貨車技術発達史編纂委員会『日本の貨車―技術発達史―』2009年 社団法人日本鉄道車輌工業会、477-8, 744頁。

関連項目

• - 国鉄の車両形式一覧

もう一度検索