国鉄1020形蒸気機関車

1020形蒸気機関車の歴史

1020形は、日本国有鉄道の前身である鉄道院に所属していたタンク式蒸気機関車です。元々は1898年に山陽鉄道によってアメリカのディックソン・マニュファクチュアリング社から輸入された2両から成り、その後1906年に鉄道国有法によって国有化されました。

概要

この機関車は、0-6-0(C)という車軸配置を持ち、飽和式の2気筒単式設計で、主に入換用の小型機関車でした。独特のデザインでは、ボイラーに比べてかなり大きな密閉された運転室が特徴的です。ディックソン社はペンシルベニア州のスクラントンに位置しており、日本に輸出されたのはこのモデルの2両のみという非常に希少なものでした。

この機関車の製造番号は987および988で、山陽鉄道では形式15として番号86および87を与えられました。国有化後は、一時的に元の形式番号が保持されましたが、1909年に制定された鉄道院の車両称号規程により、1020形として改称されました（新番号は1020と1021）。

廃車とその後の履歴

1020形の機関車は、国有化された後の1912年8月17日に両方とも廃車となり、初代養老鉄道に譲渡されました。この際の新しい番号はそれぞれ1と2でした。その後、1922年には大同電力（現在の関西電力）に譲渡され、岐阜県恵那郡大井町（現在の恵那市）に建設中の大井ダムの工事に使用されました。この工事に関連する鉄道は、1928年に北恵那鉄道に引き継がれましたが、営業中に両機が実際に使われた記録は残っていません。

再発見の経緯

本形式が再び注目されるのは、1952年のことで、この年に鉄道ファンの寺島京一によって川崎埠頭にて発見されました。発見された機関車は、旧1021号（製造番号987）であることが確認されました。その後の調査で、1935年にこの機関車が川崎埠頭に譲渡されたことも分かりましたが、もう一方の機関車の行方は不明です。また、発見された機関車も1953年に廃車とされ、解体されてしまいました。

主要スペック

1020形の主要な諸元は以下の通りです：

• - 全長：7,366mm
• - 全高：3,632mm
• - 全幅：2,260mm
• - 軌間：1,067mm
• - 車軸配置：0-6-0(C)
• - 動輪直径：940mm
• - シリンダー（直径×行程）：305mm×406mm
• - ボイラー圧力：9.1kg/cm²
• - 火格子面積：0.74m²
• - 機関車運転整備重量：22.76t

機関車性能

この機関車のシリンダ引張力は3,350kgを持ち、ブレーキ装置は手ブレーキと真空ブレーキ（廃車後は蒸気ブレーキ）を搭載しています。

これらの特徴と長い歴史を持つ1020形は、日本の鉄道史において重要な役割を果たした、貴重な機関車の一つです。このような古典的な蒸気機関車の存在は、現在の鉄道においても多くのファンに愛され続けています。

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