国鉄1340形蒸気機関車

1340形蒸気機関車とその同型機について

1340形蒸気機関車は、かつて日本国有鉄道の前身である鉄道省に在籍したタンク式蒸気機関車です。本項では、同形の1345形、および他事業者に納入された同形機についても解説します。

1340形

1340形は、元々は信濃鉄道が1922年（大正11年）に雨宮製作所で製造した、2気筒単式・飽和式で、車軸配置0-6-0(C)のサイドタンク式26t級蒸気機関車でした。信濃鉄道では6形（10, 11）と称していました。このうち、10号機は信濃鉄道が独自に導入した車両でしたが、11号機は高畠鉄道（後の山形交通高畠線）が開業用に用意したもので、当初は1号機（初代）と称していました。

高畠鉄道では、この機関車を過大と判断したのか、1927年頃に信濃鉄道が1920年に製造した20t級の雨宮製作所製、車軸配置0-6-0の機関車7号機（4形）と交換しました。これにより、7号機が高畠鉄道の1号機（2代）となりました。

これら2両の機関車は、1937年（昭和12年）に信濃鉄道が国有化された際に鉄道省籍となり、1340形（1340, 1341）に改番されました。また、国有化前には、鉄道省の大糸南線の建設用にも使用されたという記録があります。国有化後は、矢島線で使用されましたが、1943年（昭和18年）に1340号機は昭和電工大町工場、1341号機は三徳工業茨島工場に譲渡されました。

1345形

1345形は、元々は1924年（大正13年）に信濃鉄道が雨宮製作所で製造した7形(12)でした。6形とはキャブの形状などの細部が異なるものの、同型の機関車でした。この車両も信濃鉄道の国有化に伴い、1345形（1345）に改められました。

国有化後は、しばらく大糸南線で使用された後、矢島線に移り、1949年（昭和24年）9月に廃車となり、建設省関東地方建設局に譲渡され、荒川の工事用として使用されました。

同形機

1340形と同形の機関車としては、1922年製の富山県営鉄道1号機、1930年製の輪西製鉄所1号機、そして神戸姫路電気鉄道（後の山陽電気鉄道）の無番号機があります。

富山県営鉄道の1号機は、能登鉄道（後の北陸鉄道能登線）に移り、同社の1形（1）となり、さらに金名線に移ってA20形（A201）と改番されました。

輪西製鉄所の1号機は、日本製鐵への統合により、212号機と改称されました。

神戸姫路電気鉄道のものは、建設用に特注されたもので、標準軌仕様でした。

主要諸元

以下に1340形の主要諸元を記します。

全長 : 8,083mm
全高 : 3,658mm
全幅 : 2,603mm
軌間 : 1,067mm
車軸配置 : 0-6-0(C)
動輪直径 : 914mm
弁装置 : ワルシャート式
シリンダー（直径×行程） : 330mm×457mm
ボイラー圧力 : 12.0kg/cm2
火格子面積 : 0.8m2
全伝熱面積 : 40.8m2
煙管蒸発伝熱面積 : 36.0m2
火室蒸発伝熱面積 : 4.8m2
小煙管（直径×長さ×数） : 44.5mm×2,772mm×96本
機関車運転整備重量 : 26.42t
機関車空車重量 : 20.62t
機関車動輪上重量（運転整備時） : 26.42t
機関車動輪軸重（第3動輪上） : 8.84t
水タンク容量 : 3.6m3
燃料積載量 : 1.26t
シリンダ引張力 : 5,550kg
ブレーキ装置 : 手ブレーキ、蒸気ブレーキ

参考文献

臼井茂信「国鉄蒸気機関車小史」1956年 鉄道図書刊行会
臼井茂信「日本蒸気機関車形式図集成 1」1968年 誠文堂新光社
臼井茂信「機関車の系譜図 3」1976年 交友社
金田茂裕「形式別 国鉄の蒸気機関車 I」1984年 プレス・アイゼンバーン
西脇恵「私鉄車両めぐり〔77〕 北陸鉄道」鉄道ピクトリアル1968年10月 - 12月号(Nos.215, 216, 218)
宮田雄作 「北陸鉄道能登線の1号機関車について」鉄道ファン1992年11月号、152頁

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