国鉄150形蒸気機関車

150形蒸気機関車について

概要

150形蒸気機関車は、工部省鉄道寮に所属していた日本初の蒸気機関車の一つであり、1872年に開業した日本の鉄道史において非常に重要な位置を占める存在です。イギリスから輸入された5形式のうちの一つで、1号機（製造番号614）はバルカン・ファウンドリー社によって製造されました。この機関車は日本の鉄道の発展に寄与し、現在は国の重要文化財に指定されています。

構造と改造

150形は、動輪直径1,295mm、車軸配置2-4-0の2気筒単式蒸気機関車です。弁装置にはスチーブンソン式が採用されており、安全弁はサルター式です。長い使用期間の中で、いくつかの改造が施されており、運転台の外覆が整備されたり、ボイラーの位置が変更されたりしました。特に、1884年から1885年にかけて神戸工場で実施された大幅な改造があり、運転台の蒸気ドームの移設や、汽笛の設置が行われました。この改造は、神戸地区への転用を見越してのものと考えられます。

運転と経歴

本機は、1872年10月14日に横浜-新橋間の鉄道開業に伴い客貨両用として投入されましたが、実際の使用成績はあまり良好ではありませんでした。1872年から1885年の間に走行した距離は104,641マイルで、他の機関車と比べて低い評価を受けました。1880年に東海道線の神戸地区に転用され、1885年には半田へ送られて建設資材の輸送に利用されました。後に、大阪地区で入換業務に専念することになります。

1906年には国有化が進められ、その後1909年に150形として正式に分類されました。そして1911年に島原鉄道へ譲渡され、「1」として客貨を牽引する役割を持ち続けました。その際、機関車の外観にもいくつかの変更が加えられました。

保存と展示

鉄道省に戻った1930年以降は大宮工場で整備され、1936年に東京の交通博物館に静態保存されることになりました。かつては一時的に他の機関車の部品を取りつけていましたが、現在は当初の形に復元されています。1971年からは鉄道創業期をイメージした塗色に変更されるなど、保存状態は良好です。

この機関車は1958年に鉄道記念物に指定され、1997年には重要文化財に認定されました。近年では、2022年にメタバース上で展示されたり、地域振興活動の一環として実物大の段ボール模型が制作されるなど、様々な形で注目を集めています。

文化的影響

150形蒸気機関車は、絵本『きかんしゃ やえもん』の題材としても知られています。この物語は、廃止を求められた機関車が保存されるまでの経緯を描いたもので、シンデレラ・ストーリーとして多くの読者に愛されています。歴史的な価値を持つこの機関車は、鉄道の発展の象徴として今も多くの人々に親しまれています。

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