国鉄1765形蒸気機関車

1765形蒸気機関車について

概要

1765形蒸気機関車は、日本国有鉄道（現在のJR）の前身である鉄道省に所属していたタンク式蒸気機関車です。本機は主に鶴見臨港鉄道で使用され、1929年に川崎車輛によって製造されました。車軸配置は0-6-0(C)で、35トン級のサイドタンク式機関車として知られています。この機関車は、1943年に戦時中の買収によって鉄道省のものとなり、その後国有化に伴い1765形に改番されました。

当初は鶴見臨港鉄道で303という番号で呼ばれていましたが、国有化の際に1765と改名され、主に鶴見線で運行されました。しかし、東濃鉄道に譲渡される予定がありましたが、その計画は鉄道の電化によって取り消され、最終的には1949年に廃車となりました。

近似機種：1770形

1765形の近似機種として1770形もあります。これは1938年に増備された304号機と同じ設計を持っていますが、いくつかの点で異なります。304号機はボイラーの中心高さが1765形よりも101mm高く、火の粉を防ぐための特大スパークアレスターが装備されていました。空気ブレーキも標準装備されていますが、このスパークアレスターは国有化後、すぐに通常のパイプ煙突に交換されました。この機関車も鶴見線で使用され、1952年に廃車になりました。

製造の背景

1765形蒸気機関車は、鶴見臨港鉄道の溶鋼運搬用に川崎車輛が開発したものです。鶴見臨港鉄道での運用だけでなく、八幡製鉄所にも同様の機関車が納入されています。こちらは固有のシリンダ寸法や側水槽の容量に若干の違いがあり、製造番号も連続しているため、同じ系列の機関車と考えられます。

八幡製鉄所では1935年と1943年に計10両を増備し、特にこのクラスの機関車の需要が高かったことが伺われます。

主要諸元

1765形の主要な諸元は以下の通りです：

• - 全長: 8,854mm
• - 全高: 3,543mm
• - 全幅: 2,640mm
• - 軌間: 1,067mm
• - 車軸配置: 0-6-0(C)
• - 動輪直径: 1,067mm
• - 弁装置: ワルシャート式
• - シリンダー: 400mm×520mm
• - ボイラー圧力: 13.0kg/cm²
• - 火格子面積: 1.4m²
• - 全伝熱面積: 78.0m²
• - 機関車運転整備重量: 35.00t
• - 水タンク容量: 3.8m³

機関車としての性能

1765形のシリンダ引張力は8,620kgで、手ブレーキと蒸気ブレーキが装備されています。このような設計により、1765形は日本の鉄道史における貴重な機関車の一つとなっています。

参考文献

以下の資料を参考にしました：

• - 臼井茂信『国鉄蒸気機関車小史』(1956年)
• - 臼井茂信『日本蒸気機関車形式図集成 1』(1968年)
• - 臼井茂信『機関車の系譜図 3』(1976年)
• - 金田茂裕『形式別 国鉄の蒸気機関車 II』(1984年)
• - 川崎重工業株式会社『蒸気機関車から超高速車両まで』(1996年)

このように、1765形はその歴史や技術的特徴から、鉄道愛好家にとって魅力的な存在であり続けています。

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