国鉄180形蒸気機関車

180形の蒸気機関車

180形は、日本国有鉄道（国鉄）の前身である鉄道院に在籍したタンク式蒸気機関車です。今から約120年前、1900年に徳島鉄道が愛知県熱田にあった鉄道車輛製造所から購入したのが始まりです。その後、鉄道国有法によって1907年に国有鉄道に組み込まれました。

概要

この機関車の特徴は、車軸配置が2-4-0(1B)で、2気筒単式の飽和式を採用している点です。製造されたのは1両のみであり、当初は丙1形(5)という形式名が付けられていました。この180形は、日本の民間車両製造工場が生産した初めての機関車という特別な地位を持っています。しかし、一般的には汽車製造が手掛けた後の鉄道院230形が日本初の民間工場製機関車とされていることがあるため、誤解を生むことがあります。

実際には、この180形は国産であるものの、台枠や動輪、シリンダーなどの主要部品はイギリスからの半製品を輸入し、その後国内の工場で組み立てられたものです。3両分の半製品を輸入したとされていますが、結局完成したのはこの1両だけで、製造後間もなくに工場は倒産してしまったという運命をたどりました。

未完の2両分の部品は、抵当物件として差し押さえられた銀行から汽車製造に手渡り、その残りの部品は1903年に西成鉄道（後の鉄道院170形）に転用されたと伝えられています。

180形は1909年、鉄道院の車輛形式称号規程に従って180形（180）に改番されました。その後、1917年の2月まで在籍した後、廃車され八幡製鉄所に譲渡されました。八幡製鉄所では302という番号で1933年頃まで使用されていたものの、牽引力不足が表面化し、徹底的な改造が施されました。そのため、車軸配置も0-6-0(C)形に変更され、当初の形状は完全に失われてしまいました。

主要諸元

180形の主要な諸元は以下の通りです：

• - 全長: 8,390mm
• - 全高: 3,658mm
• - 軌間: 1,067mm
• - 車軸配置: 2-4-0(1B)
• - 動輪直径: 1,372mm
• - 弁装置: ジョイ式基本型
• - シリンダー（直径×行程）: 330mm×508mm
• - ボイラー圧力: 9.8kg/cm²
• - 火格子面積: 0.93m²
• - 全伝熱面積: 61.1m²
• - 煙管蒸発伝熱面積: 56.1m²
• - 火室蒸発伝熱面積: 5.0m²
• - ボイラー水容量: 2.2m³
• - 小煙管（直径×長サ×数）: 44.5mm×2,997mm×134本
• - 機関車運転整備重量: 32.27t
• - 機関車空車重量: 26.28t
• - 機関車動輪上重量（運転整備時）: 34.61t
• - 機関車動輪軸重（最大・各軸均等）: 12.33t
• - 水タンク容量: 3.17m³
• - 燃料積載量: 1.34t

機関車性能

機関車の性能に関して、シリンダ引張力は3,360kgで、ブレーキ装置としては手ブレーキや蒸気ブレーキが装備されていました。

この180形は、見た目に古き良き時代の蒸気機関車の一つとして、歴史に名を刻んでいます。

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