国鉄3000形蒸気機関車

3000形蒸気機関車：北海道から樺太へ、その足跡をたどる

3000形は、かつて鉄道院および樺太庁鉄道に在籍したタンク式蒸気機関車です。元は北海道庁鉄道部が、アメリカのボールドウィン・ロコモティブ・ワークスから輸入したもので、そのユニークな経歴と特徴的な構造について解説します。

概要

1899年と1900年にかけて合計3両が輸入された3000形は、車軸配置2-6-2(1C1)の飽和式機関車でした。北海道官設鉄道時代はD2形と呼ばれていましたが、1905年に官設鉄道に編入された際にBb形と改称。1909年の鉄道院車両称号規程制定により、3000形（3000 - 3002）となりました。

鉄道院200形に動軸を1軸追加したような形態で、アメリカ古典機スタイルの典型例と言えるでしょう。形式番号が示す通り、国有鉄道では最も小型の2-6-2形蒸気機関車でした。製造年によって蒸気ドームと砂箱の形状が異なり、1899年製はシンプルなドーム型、1900年製はくびれのある形状をしていました。蒸気ドームは第2缶胴上、砂箱は第1・第3缶胴上に設置されていました。

先台車と従台車はどちらもビッセル式でしたが、先台車は内側式、従台車は外側式という違いがありました。鉄道院時代には、煙室の延長と煙突キャップの撤去が行われています。

樺太へ

1910年8月から樺太庁鉄道に貸し出され、建設用として活躍しましたが、1915年5月に鉄道院籍を抹消。同年9月には正式に樺太庁鉄道へ移管されました。樺太庁鉄道では形式番号を変更せずに使用されましたが、1925年と1926年にかけて民間の樺太鉄道へ払い下げられます。その後、1941年に樺太鉄道が樺太庁鉄道に買収されたことで、再び庁鉄籍に復帰。しかし、1943年の鉄道省編入時には既に処分されており、鉄道省籍を得ることはありませんでした。

主要諸元

全長：9,398mm
全高：3,505mm
全幅：2,286mm
軌間：1,067mm
車軸配置：2-6-2(1C1)
動輪直径：1,067mm
弁装置：スチーブンソン式アメリカ型
シリンダー（直径×行程）：305mm×457mm
ボイラー圧力：11.2kg/cm2
火格子面積：0.99m2
全伝熱面積：44.6m2
煙管蒸発伝熱面積：40.2m2
火室蒸発伝熱面積：4.4m2
小煙管（直径×長サ×数）：44.5mm×2,645mm×109本
機関車運転整備重量：24.50t
機関車動輪上重量（運転整備時）：18.15t
機関車動輪軸重（第1・2動輪上）：6.35t
水タンク容量：2.66m3
燃料積載量：1.07t
シリンダ引張力：3,790kg
ブレーキ装置：手ブレーキ、蒸気ブレーキまたは真空ブレーキ

参考文献

臼井茂信「国鉄蒸気機関車小史」1958年、鉄道図書刊行会刊
臼井茂信「日本蒸気機関車形式図集成」1969年、誠文堂新光社刊
臼井茂信「機関車の系譜図 1」1972年、交友社刊
* 金田茂裕「形式別 国鉄の蒸気機関車I」1978年、プレス・アイゼンバーン刊

3000形は、その短い生涯の中で、北海道、樺太と活躍の場を移し、日本の鉄道史にその名を刻みました。現存するものはありませんが、その姿は貴重な資料として今に伝えられています。

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