国鉄3240形蒸気機関車

3240形蒸気機関車の概要

3240形は、日本国有鉄道の前身である鉄道院がかつて保有していたタンク式蒸気機関車です。この機関車は、日本鉄道が1904年にドイツのヘンシェル・ウント・ゾーン社から輸入したもので、車軸配置は2-6-2（1C1）という特異な形状を持っています。これは、複式2気筒の飽和式が採用された機関車であり、日本国内で初めてヘンシェル製の車両が導入された例となります。

この3240形は、もともとHS3/5形として番号が付与されており、その複式の方式はフォン・ボーリース式です。また、同時期に導入された他の機関車、H3/5形やP3/5形とは異なる経緯で発注が行われました。これらの機関車と比較するために、山陽鉄道や筑豊鉄道で使用されていた複式機関車の性能が参考にされましたが、具体的な使用成績は記録に残されていません。

特徴的なデザイン

3240形の最大の特徴は、その左右対称でない形状です。高圧のシリンダは右側に位置し、直径が小さく、低圧のシリンダは左側に置かれ、直径が大きいという特異なデザインが施されています。このため、シリンダカバー（前後蓋）のサイズが異なり、蒸気管の有無によって煙室とシリンダをつなぐカバーも独特の形状をしています。

前端梁からシリンダにかけては、2段の乙字型ラインで接続されています。このデザインは、機関車の見た目に個性的な印象を与えています。また、火室部分は常磐炭田産の低質炭に適した広火室のベルペヤ式が採用されており、弁装置はワルシャート式となっています。使用圧力は14.1kg/cm²に達し、当時の機関車としては最高水準の性能を誇っていました。

国有化とその後の運命

1909年の鉄道国有法による国有化に伴い、3240形は新たな車両称号を与えられ、3240、3241に改番されました。初めは水戸に配属されましたが、国有化後には上野に移されました。数が少なく、複式機構の特異性からあまり好まれなかったため、1922年に廃車・解体される運命をたどりました。

主要諸元

• - 全長: 11,646mm
• - 全高: 3,810mm
• - 全幅: 2,660mm
• - 軌間: 1,067mm
• - 車軸配置: 2-6-2（1C1）
• - 動輪直径: 1,245mm
• - ボイラー圧力: 14.1kg/cm²
• - 機関車運転整備重量: 58.95t
• - 水タンク容量: 7.28m³
• - 燃料積載量: 1.78t

機関車性能

シリンダ引張力は、単式で10,960kg、複式で7,390kgという性能を示しています。

参考文献

• - 臼井茂信「国鉄蒸気機関車小史」1956年、鉄道図書刊行会刊
• - 臼井茂信「日本蒸気機関車形式図集成」1969年、誠文堂新光社刊
• - 臼井茂信「機関車の系譜図 1」1972年、交友社刊
• - 金田茂裕「形式別 日本の蒸気機関車I」エリエイ出版部 プレス・アイゼンバーン刊
• - 金田茂裕「日本蒸気機関車史 私設鉄道編 I」エリエイ出版部 プレス・アイゼンバーン刊
• - 沖田祐作「機関車表 国鉄編 I」レイルマガジン 2008年9月号 (No.300)付録

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