国鉄3350形蒸気機関車

3350形タンク式蒸気機関車について

3350形は、かつて日本国有鉄道の前身である鉄道院や鉄道省に在籍していたタンク式蒸気機関車です。この機関車は、1897年に高野鉄道がアメリカのブルックス・ロコモティブ・ワークスから輸入した4両のうちの2両を起源としています。当初の製造番号は2740から2743で、高野鉄道においては番号が1から4でした。

構造と性能

3350形は、車軸配置が2-6-2（1C1）で、単式２気筒の飽和式機関車です。特にそのデザインは、日本の鉄道において一般的なスタイルではなく、アメリカのブルックススタイルが反映されています。動輪の間隔や側水槽の形状が特徴的で、同時に設計されたA3形（後の鉄道院3450形）とは異なる点もあります。

国有化された後、3350形は福知山線から転属し、山陽本線で貨物列車の牽引に従事しました。しかし、1918年に北海道に移され、岩見沢に配置されていました。1923年12月には廃車となり、同年に解体されました。

高野鉄道の状況

高野鉄道に導入された残りの2両は、業績が振るわなかったため、早々に南海鉄道に移管されました。そのうち、譲渡先の南海鉄道においては、1923年10月に電気機関車が全面的に使用開始されたため、機関車は休車となり、1928年12月に廃車されました。

高野鉄道に残っていた1両は、高野大阪鉄道に引き継がれたのち、1913年に東武鉄道A2形（26）として運用されました。しかし、その後1920年には大阪高野鉄道に戻り、再度形態を変えて異なる事業者の下で運用されました。最終的には、西日本鉄道にまで登場し、歴史的な経路をたどりました。

主要な技術仕様

3350形の具体的な数値に目を向けると、以下のような仕様が確認できます。

• - 全長：10,109mm
• - 全高：3,581mm
• - 全幅：2,512mm
• - 軌間：1,067mm
• - 車軸配置：2-6-2 (1C1)
• - 動輪直径：1,270mm
• - シリンダーの直径と行程：381mm×559mm
• - ボイラー圧力：10.5kg/cm²

特に注目すべきは、シリンダ引張力が5,700kgに達することで、当時の貨物列車の牽引に適した性能を誇っていました。また、ブレーキ装置には手ブレーキと蒸気ブレーキが装備されています。

結論

3350形は、日本の蒸気機関車の歴史を語る上で欠かせない存在であり、そのデザインや性能は当時の技術の象徴とも言えるでしょう。そして、様々な鉄道会社での運用や改番の歴史が、3350形の魅力をさらに高めています。

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