国鉄45形蒸気機関車

45形蒸気機関車の概要

45形は、かつて日本国有鉄道、すなわち国鉄の前身である鉄道院に所属していたタンク式蒸気機関車です。この機関車は、九州鉄道が創業時にドイツのホーエンツォレルン社から輸入したもので、九州鉄道の1号機関車でもあります。形式称号が設定された1900年頃には、初号機の番号から「1形」と呼ばれました。

機関車の導入

九州鉄道は、その開業に際してドイツの技術者ヘルマン・ルムシュッテルを招き入れて技術指導を受けました。このため、機関車はドイツから輸入されることとなり、ホーエンツォレルン製の機関車3両（番号1 - 3）と、クラウス製の4 - 10（後の鉄道院10形）が持ち込まれました。これらの機関車は、車軸配置0-4-0(B)の飽和式タンク機関車で、ドルトムント・ウニオン社によって製造され、九州鉄道の指定した仕様に従って設計されました。

構造的特長

45形の車軸配置は0-4-0(B)で、サイドタンクと動輪の間にはウェルタンクが組み込まれています。本機関車は1898年に製造された494から496までの製造番号を持ち、それらは讃岐鉄道に納入された鉄道院60形に類似しています。ただし、60形はウェルタンクを持たずサイドタンクのみです。そのため、45形のサイドタンクは短く、特に蒸気ドームは低く設計されており、蒸気の取り出し管を覆っているだけに過ぎない状態でした。加減弁は第1缶胴の上に設けられ、その上には安全弁が設置されています。また、シリンダー上部の蒸気管は覆われておらず、露出した状態です。

主要な諸元

• - 全長: 6,921mm
• - 全高: 3,673mm
• - 全幅: 2,619mm
• - 軌間: 1,067mm
• - 車軸配置: 0-4-0(B)
• - 動輪直径: 1,130mm
• - 弁装置: アラン式
• - シリンダー（直径×行程）: 300mm×500mm
• - ボイラー圧力: 12.4kg/cm²
• - 火格子面積: 0.66m²
• - 全伝熱面積: 46.0m²
• - 煙管蒸発伝熱面積: 42.0m²
• - 火室蒸発伝熱面積: 4.1m²
• - ボイラー水容量: 1.8m³
• - 小煙管（直径×長サ×数）: 44.5mm×2,588mm×116本
• - 機関車運転整備重量: 22.62t
• - 機関車空車重量: 17.83t
• - 機関車動輪上重量（運転整備時）: 22.62t
• - 機関車動輪軸重（最大・第1動輪上）: 11.30t
• - 水タンク容量: 2.1m³
• - 燃料積載量: 0.7t

機関車性能

• - シリンダ引張力（0.85P）: 4,350kg
• - ブレーキ装置: 手ブレーキ、蒸気ブレーキ（後付け）

経歴とその後

納入された45形3両は、それぞれ製造番号に従って1から3と名付けられ、主に建設作業に使用されました。ただし、建設業務がない期間は小倉での入換業務にも使われていました。1907年には、鉄道国有法によって九州鉄道が買収され、これに伴い45形も官設鉄道に加わりましたが、1909年の鉄道院の車両称号規程により、新たに45形（番号45 - 47）と改称されました。この時に、1と2の番号は入れ替えられ、494が46に、495が45とされました。

しかし、鉄道院は小規模な機関車を淘汰する方針を採っており、45形は1916年から1917年にかけて除籍されることとなります。その後、すべての車両は八幡製鉄所に譲渡されました。八幡製鉄所では、元の番号に基づいて69、70、75と名付けられましたが、その後に202から204に改称され、1952年にはさらに220、224、225という新しい番号に変更されています。

八幡製鉄所では、側水槽の増設や弁装置の変更などの大掛かりな改装が施され、1936年には204の弁装置がアラン式からワルシャート式に変更されました。最終的には、1962年から1963年にかけて廃車とされ、愛好者の間で九州の1号機関車としての保存を望む動きもありましたが、結局は解体されることになりました。

参考文献

• - 臼井茂信「国鉄蒸気機関車小史」1956年、鉄道図書刊行会刊
• - 臼井茂信「日本蒸気機関車形式図集成」1969年、誠文堂新光社刊
• - 臼井茂信「機関車の系譜図 1」1972年、交友社刊
• - 金田茂裕「形式別 国鉄の蒸気機関車I」1984年、機関車史研究会刊
• - 金田茂裕「ホーエンツォレルンの機関車」1994年、機関車史研究会刊

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