国鉄7750形蒸気機関車

7750形蒸気機関車：勾配線区を支えた異色のテンダ機

7750形は、かつて日本国有鉄道（国鉄）の前身である鉄道作業局・鉄道院・鉄道省に在籍したテンダ式蒸気機関車です。その出自は、私鉄の日本鉄道に遡ります。

日本鉄道N3/4形から7750形へ

1893年（明治26年）、日本鉄道はイギリスのニールソン社で10両の機関車を製造しました。これが7750形のルーツであるN3/4形（77 - 86号）です。車軸配置は2-6-0(1C)形、飽和式テンダ機関車でした。77 - 84号は通常の2気筒単式、85・86号は2気筒複式という構成でしたが、複式機関車は国有化前に単式に改造されています。

勾配線区対策と特徴的な外観

7750形は、勾配線区での運用を考慮して設計されたため、動輪の粘着重量を増す目的で、テンダ機関車でありながら側水槽を備えていました。この点が外観上の大きな特徴となっています。また、火室はペルペヤ式、弁装置はスチーブンソン式を採用していました。

国有化と樺太への移籍

1909年（明治42年）の私鉄国有化に伴い、7750形（7750 - 7759号）に改番されました。同時期に輸入された7450形や7600形とは同系車でした。
当初は東北線の黒磯・白河間で運用され、一部は東海道線の箱根越えにも使用されました。その後、一ノ関に転属し東北線北部で使用されましたが、1924年（大正13年）に全車が樺太庁鉄道へ移管されました。

樺太庁鉄道では西海岸線で使用されましたが、老朽化により1929年（昭和4年）から順次廃車が進み、1943年（昭和18年）の樺太庁鉄道の鉄道省編入の際には、7両が国鉄に復籍したものの、1945年（昭和20年）に全車が廃車されました。

主要諸元（単式機）

全長: 14,523mm
全高: 3,658mm
軌間: 1,067mm
車軸配置: 2-6-0(1C)
動輪直径: 1,219mm
弁装置: スチーブンソン式基本型
シリンダー（直径×行程）: 432mm×559mm
ボイラー圧力: 11.3kg/m2
火格子面積: 1.53m2
全伝熱面積: 92.0m2
煙管蒸発伝熱面積: 83.8m2
火室蒸発伝熱面積: 8.2m2
ボイラー水容量: 3.4m3
小煙管（直径×長サ×数）: 45mm×3,370mm×178本
機関車運転整備重量: 41.51t
機関車空車重量: 34.73t
機関車動輪上重量（運転整備時）: 37.22t
機関車動輪軸重（第2動輪上）: 12.46t
炭水車重量（運転整備）: 22.48t
炭水車重量（空車）: 10.89t
水タンク容量: 12.3m3
燃料積載量: 3.46t
シリンダ引張力: 8,150kg
ブレーキ装置: 手ブレーキ、真空ブレーキ

参考文献

臼井茂信「国鉄蒸気機関車小史」1956年、鉄道図書刊行会刊
臼井茂信「日本蒸気機関車形式図集成」1969年、誠文堂新光社刊
臼井茂信「機関車の系譜図 1」1972年、交友社刊
金田茂裕「形式別 日本の蒸気機関車 I」エリエイ出版部刊
* 金田茂裕「日本蒸気機関車史 私設鉄道編 I」エリエイ出版部刊

もう一度検索