国鉄8250形蒸気機関車

8250形蒸気機関車の概要

8250形は、かつて日本国有鉄道の前身である鉄道院・鉄道省に属したテンダ式蒸気機関車です。この機関車は、1903年にアメリカのボールドウィン社で製造され、当時の特徴的な2-6-0（1C）の車軸配置を持っています。また、ヴォークレイン4気筒複式を採用した蒸気機関車として知られています。製造番号は21545です。

8250形は、同年に開催された第5回内国勧業博覧会に出品され、その後山陽鉄道に購入されました。山陽鉄道では22形（112）として運用されていましたが、1906年には国有化され、さらに1909年には鉄道院の新しい車両形式称号規程に基づいて8250形に改称されました。

特徴と設計

この型式の機関車は、アメリカの古典的なデザインを模しており、ボイラーはワゴントップ型です。火室の上には蒸気ドームが設置されており、第二缶胴上には砂箱が設けられています。また、煙室の側面にはブレースという支柱が取り付けられており、構造的な強度を高めています。

炭水車は3軸構成で、後部には2軸のボギー台車が装備され、片ボギー式となっています。この機関車は製造当初から電灯による前照灯を装備し、特に前照灯と煙突の間には蒸気タービン式発電機が設置されていました。これは日本初の試みとなり、当時の技術革新を象徴するものでした。また、「火夫いらず」と名付けられた「ディ・キンカイド式機関車用ストーカー」が搭載されており、こちらも国内初でした。動輪の直径は1270mmとやや小さかったものの、固定軸距、重量、牽引力のいずれも当時の山陽鉄道において最大級の機関車でした。

ヴァンダビルト・コルゲイテッド火室の特徴

8250形のもう一つの際立った特徴としては、試験的に搭載されたヴァンダビルト・コルゲイテッド火室が挙げられます。この火室は円筒形状を持ち、波状鋼板を使用して補強されていました。また、内火室を支えるステイが従来よりも小型化されているという特殊な設計が施されています。この方式は、1899年から翌年にかけてアメリカのニューヨーク・セントラル鉄道で試験的に導入された他の機関車においても採用されていましたが、持て余されることが多かったため、8250形も1914年には通常型の火室に改造されています。

使用状況については、1918年にその運用が停止され、1919年には廃車となりました。最終的には下関に配属されていたものの、短命に終わりました。

主要諸元

8250形の設計は次のような主要諸元を持っています。

• - 全長: 14,547mm
• - 全高: 3,816mm
• - 全幅: 2,737mm
• - 軌間: 1,067mm
• - 軸配置: 2-6-0(1C)
• - 動輪直径: 1,270mm
• - 弁装置: スチーブンソン式アメリカ型
• - シリンダー: 直径330mm×行程610mm・559mm×610mm
• - ボイラー圧力: 13.4kg/cm²
• - 火格子面積: 1.95m²
• - 全伝熱面積: 110.5m²
• - 煙管蒸発伝熱面積: 105.7m²
• - 火室蒸発伝熱面積: 4.7m²
• - ボイラー水容量: 4.2m³
• - 小煙管: 直径41.3mm×長サ3,086mm×276本
• - 機関車運転整備重量: 49.19t
• - 機関車動輪上重量: 40.58t
• - 機関車動輪軸重（第1動輪上）: 13.93t
• - 炭水車重量: 26.25t
• - 水タンク容量: 10.67m³
• - 燃料積載量: 2.46t

参考文献

• - 臼井茂信「国鉄蒸気機関車小史」1956年、鉄道図書刊行会刊
• - 臼井茂信「日本蒸気機関車形式図集成」1969年、誠文堂新光社刊
• - 臼井茂信「機関車の系譜図 1」1972年、交友社刊
• - 金田茂裕「形式別 日本の蒸気機関車 III」エリエイ出版部刊
• - 金田茂裕「日本蒸気機関車史 私設鉄道編 I」エリエイ出版部刊
• - 「日本に輸入されたBALDWIN製蒸気機関車の製造番号表」1969年、SL No.2、交友社刊

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