国鉄EF11形電気機関車

EF11形電気機関車：回生ブレーキ搭載の先駆け

EF11形は、1935年から1937年にかけて、鉄道省（後の日本国有鉄道）が製造した直流電気機関車です。貨物輸送を主な目的とし、勾配区間での運用を想定して開発されました。特筆すべきは、鉄道省の機関車としては初めて電力回生ブレーキを採用した点です。しかし、その後の様々な要因により、わずか4両の製造にとどまり、少数派の機関車として生涯を終えました。

開発と特徴

1935年に1号機と3号機、翌1936年に2号機、そして1937年に4号機が汽車製造で製造されました。設計はEF10形をベースとしていますが、初期のEF10形とは異なり、全溶接構造を採用した点が特徴です。1号機から3号機までは、外観上はリベットがなくなった点を除き、EF10形1号機から16号機とほぼ同じ形状でした。しかし、1937年に製造された4号機は、車体が丸みを帯びた形状に変更され、その後のEF56形やEF10形の一部にもこのデザインが採用されました。

主要諸元

全長：18380mm（4号機のみ17500mm）
全幅：2810mm
全高：3940mm
重量：97.70t
電気方式：直流1500V
軸配置：1C+C1
1時間定格出力：1350kW
主電動機：MT28
* 最高運転速度：75km/h

運用と変遷

当初は1号機と2号機が甲府機関区に、3号機と4号機が水上機関区に配置され、中央本線や上越線で運用されました。1941年には全機が甲府機関区に集結しましたが、1943年には再び全機が水上機関区に転属しました。

1936年には1号機を用いた上越線での試験で、旅客・貨物列車ともに30％以上の回生率を記録し、その性能の高さを証明しました。しかし、回生制動の本格導入には地上設備の改修が必要となること、また鉄道省内での電化に対する意見の相違などから、導入は見送られました。そのため、EF11形は4両のみの少数派に終わりました。回生制動装置も1943年に一部部品が撤去され、使用停止となりました。

戦後、1947年から1948年にかけて国府津機関区や甲府機関区に転属する際、2号機を除く3両の回生制動装置が整備され、再び使用可能となりました。しかし、EF11形の回生制動は主幹制御器側でブレーキ指令を行う設計で、空気制動との連携機構もなかったため、ブレーキ操作が他の機関車とは異なり、運用上の混乱を招きました。結局、再整備されたこの機構はほとんど使用されることなく、1961年に撤去されました。

なお、1950年にはED42形にEF11形の部品を転用した回生ブレーキの試験も行われました。

1948年以降は甲府機関区に配置され、貨物列車の他に旅客列車も牽引しました（冬季は暖房車を連結）。1957年には八王子機関区に転属し、貨物輸送に専念するようになり、晩年はEF10形と共通運用となりました。1974年に全機が廃車となり、その生涯を終えました。現存する車両はありません。

脚注

関連項目

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