国際化国別コードトップレベルドメイン

国際化国別コードトップレベルドメイン（IDN ccTLD）とは

国際化国別コードトップレベルドメイン（IDN ccTLD）とは、トップレベルドメイン（TLD）の一種であり、各国の言語特有のアルファベットや文字（例えば、アラビア[[文字]]や漢字など）を、ウェブブラウザなどのエンドユーザーアプリケーションに表示するために特別にコード化されたドメイン名のことです。

IDN ccTLDは、国や地域に割り当てられる国別コードトップレベルドメイン（ccTLD）に国際化ドメイン名（IDN）を適用したものです。IDN ccTLDの名前には「国別コード」という言葉が含まれていますが、実際に使用されるのはコードではなく、実際の国名そのものです。例えば、サウジアラビアのIDN ccTLDである السعودية (as-Suʻūdiyya) は、アラビア語で「サウジアラビア」という言葉そのものを表しており、省略形ではありません。

IDN ccTLDを持つ国は、以前から使用されているASCIIベースのccTLDも引き続き維持しています。

IDN ccTLDの現状

2014年12月現在、45のIDN ccTLDが承認されています。中でも、.рф（ロシア）が90万ドメイン以上で使用されており、最も普及しています。次いで、.台灣（台湾）が約50万ドメイン、.中国（中国）が約20万ドメインとなっています。

IDN ccTLDの歴史

IDN ccTLDの導入に向けた動きは、2006年12月にICANN理事会が国別コードドメイン名支持組織（ccNSO）の中にIDN ccTLDの専門調査委員会を設置することを承認したことから始まりました。

2007年6月、専門調査委員会はIDNCワーキンググループに提案を準備するよう依頼することを決定しました。ワーキンググループは2008年6月に、「限られた数の議論のないIDN ccTLDs（ISO 3166-1の2字コードと関連した）を導入するメカニズムを勧告する」と提案しました。ワーキンググループは、ICANN憲章に基づく「ファスト・トラックプロセス」を適用し、Internet Assigned Numbers Authorityと協同で以下のことを行うよう提案しました。

TLDの文字列と国別コードに特定するプロセスの技術的な基礎を確認し、IDN ccTLDのための人員と当局を選び、文書を準備すること。
技術的な提案のためのICANNデューディリジェンスプロセスを実行し、方法を発表すること。
確立したIANAの手続きの範囲内で委任プロセスを実行すること。

2009年10月、ICANNは、国と地域の代表者からの国際化トップレベルドメイン名への申請の受け付けを11月から始めることを決定しました。2009年11月16日から、国と地域はIDN ccTLDsの適用が可能になりました。エジプト、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、ロシアが新しいIDN ccTLDsの最初の適用国となりました。

2010年1月、これらの国のIDN ccTLDsがドメイン適用プロセスによりファスト・トラック文字列評価（Fast Track String Evaluation）を通過した最初の4つの新しいIDN ccTLDであると、ICANNが発表しました。2010年5月、11の言語（中国語、ロシア語、タミル語、タイ語など）を使用する21か国が新しいIDN ccTLDの申請を行いました。

2010年5月5日、最初の実装（すべてアラビア[[文字]]による）が有効化されました。エジプトに مصر. が、サウジアラビアに السعودية. が、アラブ首長国連邦に امارات. が割り当てられました（全て、アラビア語の慣習により右から左に読む）。 ICANNのCEOロッド・ベクストロームは、IDN ccTLDの立ち上げは「歴史的なもの」で「オンラインの景色を永遠に変える劇的な転換」であると述べました。加えて、「どこで生きているか、何語を話しているかに関係なく、インターネットを世界中の人々がより利用しやすくユーザーフレンドリーにする移行の始まりである」と述べました。国際化ドメイン名のシニア・ディレクターであるティナ・ダムは、インターネットの開始以来「最も意義深い日」であると言いました。ICANNによれば、アラビア語は、インターネット上で最も広く使われている非ラテン言語の1つであるので、IDN ccTLDの最初のロールアウトに選ばれました。アラビア語のウェブアドレスを入力しようとするとき、キーボードで左から右へと右から左へのテキスト文字列が混在するという問題があります。

2010年6月現在、IDN ccTLDには4種類の文字が使われていました。مصر.（エジプト）, السعودية.（サウジアラビア）, امارات.（アラブ首長国連邦）の3つはアラビア[[文字]]を使用し、 .рф（ロシア）はキリル[[文字]]を使用しています。2010年6月、漢字（繁体字・簡体字）を使用した5つのIDN ccTLD、.中国・.中國（中華人民共和国）、 .香港（香港）、.台灣・.台湾（台湾）が承認されました。

新しい国別コードは即時に利用できるようになりました。しかし、それらがすぐに全てのユーザーが使えるようになるわけではないかもしれないと、ICANNは認めています。エジプトの通信情報技術大臣によれば、3つのエジプトの企業が、最初に、新しいمصرドメインの免許を受け取りました。エジプトの通信省は、おそらくアラビア語アドレスによる最初の機能的なウェブサイトでした。

ロシアのccTLD .рфは5月13日に利用可能になりました。ブルガリアが申請していた.бгは、.brに見た目が似ているという理由でICANNにより却下されました。

漢字による5つの新しいccTLDは、初めての非アルファベット文字のccTLDであり、2010年6月25日にICANN理事会により承認されました。中国と台湾のIDN ccTLDは、繁体字と簡体字による2種類が割り当てられています。

ウクライナの.укрは2013年2月28日にICANN理事会に承認され、2013年3月19日にルートDNSに登録されました。

ブルガリアの.бгは2014年にICANN理事会により承認されました。

IDN ccTLDの課題

IDN ccTLDの導入は、多言語環境でのインターネット利用を促進する上で大きな意義を持ちますが、いくつかの課題も存在します。

セキュリティ: IDN homograph攻撃などのセキュリティ上のリスクが指摘されています。これは、異なる文字コードで記述されたドメイン名が視覚的に酷似しているため、ユーザーが誤って悪意のあるサイトにアクセスしてしまう可能性があるという問題です。
技術的な問題: 異なる文字コードや文字体系をサポートするための技術的な対応が必要です。また、全てのブラウザやアプリケーションがIDN ccTLDを正しく表示できるとは限りません。
認識: IDN ccTLDの認知度がまだ低いため、普及には時間がかかる可能性があります。

IDN ccTLDは、インターネットの多言語化を推進する上で重要な役割を担っています。今後の技術的な進歩や普及活動によって、より多くの人々が自国語でインターネットを利用できるようになることが期待されます。

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