国際標準名称識別子とは？意味をやさしく解説

国際標準名称識別子（ISNI）とは

国際標準名称識別子（ISNI）は、書籍、テレビ番組、新聞記事といったメディアコンテンツの作成者を一意に識別するための国際的な標準識別子です。ISNIは、国際標準化機構（ISO）によって開発され、ISO 27729として2012年に正式な標準規格となりました。16桁の数字で構成され、4つのブロックに分割されています。

ISNIの主な目的は、同姓同名や異なる表記の著者名による混乱を避けることです。メディア産業全体で収集される名前に関するデータをリンクさせ、より正確な情報管理を可能にします。例えば、同じ名前の人物が複数存在する場合でも、ISNIによって個々の人物を正確に識別できます。

ISNIの利用

ISNIは、著作者のペンネームや出版社が使用するインプリントといった情報を一意の番号で識別します。この番号は、他の識別子と連携して、メディア産業で使用されるさまざまな識別システムを繋ぐことができます。これにより、データ交換が円滑になり、情報の整合性が保たれます。

例えば、音楽家が作詞・作曲・演奏を同時に行う場合、複数のデータベースに異なる識別情報が存在することがあります。ISNIは、これらの情報を一元的に管理し、データベース間でより正確な情報交換を可能にします。ISNIは、MusicBrainzやWikidataといったデータベースも情報源として採用しており、YouTubeもISNIの登録機関となっています。

具体的な例として、超歌手の大森靖子のISNI番号「0000 0004 5644 0611」を挙げることができます。このISNIのページには、Wikidataの識別IDやMusicBrainzの識別IDへのリンクが記載されており、関連する情報を容易に参照できます。

図書館や公文書館でも、ISNIは目録情報を共有する際に役立ちます。オンラインでの情報検索やデータベースの利用がより正確になり、デジタル環境や国境を越えた権利の管理が促進されます。日本においては、国立国会図書館に納本された書籍の著作者データがVIAF（バーチャル国際典拠ファイル）を通じてISNIの典拠情報として採用されています。

例えば、画家の岡本太郎の場合、国立国会図書館のID、VIAFのID、そしてISNIのIDが関連付けられており、それぞれのデータベースで情報が連携していることがわかります。複数の名前やペンネームを使用している著作者の場合でも、ISNIはその情報を集約し、一元的に管理できます。ただし、名寄せがうまくいかない場合もあり、一部の著作者には複数のISNI番号が割り振られていることもあります。

ORCIDとの関係

ORCID（Open Researcher and Contributor ID）は、学術研究者向けの識別子であり、ISNIが確保した区画です。ORCIDとISNIは別の組織によって管理されていますが、連携して活動しています。研究者は、自身のORCIDをオンラインで作成できるため、ISNIとORCIDの両方を持つことが可能です。

ISNIの管理

ISNIは、ISNI-IAという国際機関によって管理されています。ISNI-IAは、著作権協会国際連合 (CISAC)、欧州国立図書館長会議 (CENL)、世界複製権機構 (IFRRO) などの団体から構成されるコンソーシアムです。ISNI-IAは、ユーザーインターフェース、データスキーマ、曖昧性除去アルゴリズムで構成される割り当てシステムを運用しています。

割り当てシステムは、OCLCが開発したバーチャル国際典拠ファイルを基盤としており、ISO標準規格の要件を満たしています。登録機関は、顧客と直接取引し、データが適切なフォーマットで提供されるように管理します。登録機関はISNI-IAによって任命されますが、経営や予算は独立して決定できます。

その他の情報

ISNIは、典拠管理、ORCID、バーチャル国際典拠ファイル（VIAF）、デジタル著者識別子、国際標準テキストコード（ISTC）など、関連する識別システムと連携しています。

外部リンク

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