国際生物学オリンピック

国際生物学オリンピック（IBO）とは

国際生物学オリンピック（International Biology Olympiad, IBO）は、世界中の高校生を対象とした生物学の国際的な競技大会です。毎年開催され、参加者は生物学の知識と実験スキルを競い合います。

大会の概要

IBOは、理論試験と実験試験で構成されています。参加者は、生物学の幅広い分野にわたる問題に取り組み、その知識と応用力を試されます。1990年にチェコスロバキア（当時）のオロモウツで第1回大会が開催されて以来、毎年、世界各地で開催されています。

各国からは最大4人の選手が参加でき、成績上位者には金、銀、銅メダルが授与されます。具体的には、上位10%が金メダル、次の20%が銀メダル、さらに次の30%が銅メダルを獲得します。ただし、同一選手は2回までしか参加できません。日本代表は1回のみに制限されています。

日本の参加

日本は2005年の第16回北京大会から参加しています。日本代表は、国内の日本生物学オリンピックでの選考を経て選出されます。この選考会では、細胞生物学、植物解剖学、生態学、動物解剖学、遺伝学など、幅広い分野の知識が問われます。選考を勝ち抜いた高校生は、国際大会でその実力を発揮することになります。

その他の活動

国際大会では、各国の代表生徒が作成したビデオを共有し、参加生徒の投票で1位を決めるイベントも行われます。日本チームは過去に2度、このビデオコンテストで1位を獲得しています。

また、2013年からは、日本の提案により、参加教員向けの「教育セッション」が開催されています。このセッションでは、各国が高校生物教育に関する情報を交換し、教育の質の向上を目指しています。

開催地一覧

以下は、過去の国際生物学オリンピックの開催地一覧です。

1990年：第1回　チェコスロバキア（オロモウツ）
1991年：第2回　ソビエト連邦（マハチカラ）
1992年：第3回　チェコスロバキア（ポプラト）
1993年：第4回　オランダ（ユトレヒト）
1994年：第5回　ブルガリア（ヴァルナ）
1995年：第6回　タイ（バンコク）
1996年：第7回　ウクライナ（アルテック）
1997年：第8回　トルクメニスタン（アシガバート）
1998年：第9回　ドイツ（キール）
1999年：第10回　スウェーデン（ウプサラ）
2000年：第11回　トルコ（アンタルヤ）
2001年：第12回　ベルギー（ブリュッセル）
2002年：第13回　ラトビア（リガ）
2003年：第14回　ベラルーシ（ミンスク）
2004年：第15回　オーストラリア（ブリスベン）
2005年：第16回　中華人民共和国（北京）
2006年：第17回　アルゼンチン（リオクアルト）
2007年：第18回　カナダ（サスカトゥーン）
2008年：第19回　インド（ムンバイ）
2009年：第20回　日本（茨城県つくば市）
2010年：第21回　大韓民国（昌原市）
2011年：第22回　台湾（台北市）
2012年：第23回　シンガポール
2013年：第24回　スイス（ベルン）
2014年：第25回　インドネシア（バリ）
2015年：第26回　デンマーク（オーフス）
2016年：第27回　ベトナム（ハノイ）
2017年：第28回　イギリス（コヴェントリー）
2018年：第29回　イラン（テヘラン）
2019年：第30回　ハンガリー（セゲド）
2020年：第31回　日本（長崎県佐世保市）
2021年：第32回　ポルトガル（リスボン）
2022年：第33回　アルメニア（エレバン）
2023年：第34回　アラブ首長国連邦（アル・アイン）

今後の開催予定地

2024年：第35回　カザフスタン（アスタナ）
2025年：第36回　フィリピン（ケソン市）
2026年：第37回　リトアニア（ヴィリニュス）
2027年：第38回　ポーランド
2028年：第39回　オランダ
2029年：第40回　チェコ

参加者数の推移

参加国・地域と参加者数は年々増加しており、2007年のカナダ大会では49の国・地域から192人、2014年のインドネシア大会では61の国・地域から239人が参加しました。

日本代表の選考

日本代表は、日本生物学オリンピックを通じて選考されます。満20歳以下で大学入学前の者が参加可能です。選考は、マークシート形式の理論問題と、大学の研究室で行われる実験問題で構成されます。選考を通過した上位成績者には金、銀、銅賞が授与されます。また、選考会では、高校2年生以下の成績優秀者からさらに選抜試験が行われ、国際大会の代表4名が決定します。

日本代表の成績

日本は過去の大会で数多くのメダルを獲得しています。以下に日本代表の主な成績をまとめました。

2005年：銅メダル2個
2006年：銅メダル3個
2007年：銀メダル1個、銅メダル3個
2008年：銀メダル3個、銅メダル1個
2009年：金メダル1個、銀メダル3個
2010年：金メダル1個、銀メダル3個
2011年：金メダル3個、銀メダル1個
2012年：銀メダル4個
2013年：金メダル1個、銀メダル3個
2014年：金メダル1個、銀メダル3個
2015年：金メダル1個、銀メダル2個、銅メダル1個
2016年：金メダル1個、銀メダル3個
2017年：銀メダル4個
2018年：銀メダル2個、銅メダル2個
2019年：銀メダル2個、銅メダル2個
2020年：金メダル1個、銀メダル3個
2021年：銀メダル1個、銅メダル3個
2022年：金メダル1個、銀メダル1個、銅メダル1個、敢闘賞1個
2023年：金メダル2個、銀メダル2個

日本人金メダリスト

これまでに、以下の日本人選手が金メダルを獲得しています。

大月亮太（千葉県立船橋[[高等学校]]）2009年
栗原沙織（北海道札幌西[[高等学校]]）2010年
大塚祐太（千葉県立船橋[[高等学校]]）2011年
久米秀明（筑波大学附属駒場高等学校）2011年
松田洋樹（筑波大学附属駒場高等学校） 2011年
新宅和憲（広島学院高等学校）2013年
那須田 桂（静岡県立浜松北[[高等学校]]）2014年
末岡陽太朗（筑波大学附属駒場高等学校） 2015年
外山太郎（宮崎県立宮崎西高等学校）2016年
末松万宙（栄光学園高等学校）2020年
三田村大凱（灘高等学校）2022年
井上紗綺（久留米大学附設高等学校）2023年

関連情報

国際生物学オリンピックは、世界中の才能ある高校生にとって、生物学の知識とスキルを競い合い、交流する貴重な機会となっています。

関連事項: 国際科学オリンピック
外部リンク
国際生物学オリンピック（英語）
国際生物学オリンピック日本委員会公式ホームページ
つくば国際大会(2009)
スイス大会(2013)
インドネシア大会(2014)
デンマーク大会(2015)
ベトナム大会(2016)
* イギリス大会(2017)

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