八俣送信所

KDDI八俣送信所：歴史と技術が息づく巨大送信所

KDDI八俣送信所は、茨城県古河市に位置するKDDIが所有する送信所です。その広大な敷地と、数々の歴史的背景を持つことで知られています。ここでは、送信所の概要から歴史、そして敷地内に存在する古墳群について詳しく解説します。

所在地と立地の特徴

八俣送信所は、茨城県古河市東山田に位置し、北緯36度10分20秒、東経139度49分30秒付近にあります。この場所が選ばれた理由は、広大な土地を確保できるだけでなく、自然災害のリスクが低いことが挙げられます。また、近隣にはかつてKDDが所有していた名崎[[送信所]]や、栃木県側には小山送信所があり、埼玉県久喜市には国内向けのラジオ放送所も存在し、この一帯は電波銀座とも言える地域となっています。

八俣という名前は、この地がかつて茨城県猿島郡八俣村であったことに由来します。その後、昭和の大合併で三和村となり、さらに平成の大合併で古河市となりました。

送信施設の概要

八俣送信所の設備は、国際[[放送]]を行うために高度な技術が用いられています。主な設備は以下の通りです。

送信空中線：15基のカーテンアンテナと3基のログペリアンテナを備えています。カーテンアンテナは多線式折り返しダイポールを放射素子とするアレイアンテナで、6〜12MHz帯と12〜22MHz帯の周波数帯に対応しています。最大瞬間風速60mに耐えられる設計です。
空中線支え鉄柱：カーテンアンテナを支えるための鉄塔は、35m〜70mの自立式トラス鉄柱が35本あります。そのうち35mクラスが13本、70mクラスが22本です。
送信機：300kW送信機が5台、100kW送信機が2台あります。300kW送信機は真空管を用いた終段プレート変調式で、SSB送信にも対応しています。
番組伝送回線：NHKワールド・ラジオ日本の場合、NHK[[放送センター]]から専用デジタル回線（768kbps）をメインに、64kbps程度の伝送量回線が複数使用されています。
送信局舎：敷地のほぼ中央に集中しており、鉄筋コンクリート平屋建てです。第1送信機棟は延べ面積2700m2、第2送信機棟は970m2です。局舎には、第二次世界大戦中に受けた機銃掃射の弾痕が残っています。
電源：66kV送電線から2回線で受電し、送信機棟の受配電設備に6.6kVが供給されています。計測機器の一部は、職員がカスタムで構築したものが使われています。

歴史

八俣送信所の歴史は、1940年の国際電気通信八俣送信所開設に始まります。当初は海外向けの送信を行っており、第二次世界大戦中には重要な役割を果たしました。

1940年：国際電気通信八俣送信所開設
1941年：海外向け送信開始
1945年：アメリカ軍の機銃掃射により被害を受ける
1947年：GHQ指令により逓信省に移管
1952年：海外向け放送を「ラジオ日本」として再開
1953年：国際電信電話株式会社（KDD）に移管
1980年代後半：大規模改修工事で空中線電力が最大300kWに
1988年：カナダ[[放送協会]]（CBC）、ラジオ・フランス・インターナショナル（RFI）の中継国際[[放送]]開始
1990年：湾岸戦争時に邦人向けに有事放送
1993年：英国放送協会（BBC）の中継国際[[放送]]開始
2000年：KDDIの所管となる
2005年：特定失踪者問題調査会による北朝鮮向け放送「しおかぜ」の放送開始
2012年：CBCの中継国際[[放送]]廃止
2021年：送信開始80周年記念式典開催

この間、八俣送信所は数々の変遷を経て、国際[[放送]]における重要な役割を担い続けてきました。

五十塚古墳群

八俣送信所の敷地内には、五十塚古墳群という古代の遺跡も存在します。現在は前方後円墳1基と円墳2基が確認されていますが、かつては前方後円墳2基と円墳十数基から構成されていたと考えられています。これらの古墳は6世紀中ごろから後半にかけて築造されたと推定され、この地域が古墳時代から政治経済活動が活発な場所であったことを示唆しています。前方後円墳からは、直刀や鉄鏃などの副葬品が発見されています。

まとめ

KDDI八俣送信所は、国際[[放送]]を支える重要な施設であり、その歴史と技術は日本の通信史において重要な位置を占めています。また、敷地内に存在する古墳群は、古代からこの場所が重要な拠点であったことを物語っています。八俣送信所は、現代と古代が交錯する、非常に興味深い場所と言えるでしょう。

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