園部町南八田

園部町南八田（そのべちょうみなみはった）

京都府南丹市園部町、西本梅地区に位置する地名が園部町南八田です。かつては「八田村」として一つの集落を成していましたが、船井郡北部（現在の京丹波町瑞穂地区）にも同じ「八田」という地名が存在したことから、区別のため「南ノ八田」あるいは「南八田」と記されるようになりました。地名の由来は、一般的に平坦な土地を指す「八田」に「南」が冠されたものとされています。

地理

この地域は、北部を東西に旧山陰道である篠山街道が横断し、その中央部を八田川が南北に流れています。南丹市が定める小字名も複数存在します。

主な河川として、一級河川の八田川のほか、普通河川の芋掘谷川や西埴生川があります。

また、亀岡市から園部町にかけて延びる活断層である埴生断層がこの地域に関係しています。この断層は西北西から東南東方向へ約10kmにわたり左横ずれに動き、想定されるマグニチュードは最大6.9とされています。かつて西本梅小学校跡地には断層の露頭が確認されていましたが、2018年に建設された太陽光発電所によって現在は見られなくなりました。

歴史

地域の歴史をたどると、明治22年（1889年）の町村制施行により、南八田村は周辺の村と合併して西本梅村の一部（大字）となりました。その後、昭和30年（1955年）に西本梅村が園部町に編入され、南八田は園部町の大字となります。そして、平成18年（2006年）に園部町を含む4町の合併により南丹市が誕生し、現在の南丹市園部町南八田となりました。

この間、昭和34年（1959年）に西本梅小学校が南八田へ移転したり、昭和60年（1985年）にあけぼの学園るりけい寮が開所、平成3年（1991年）にあけぼの荘が事業開始するなど、地域の施設に関する動きがありました。交通インフラでは、平成7年（1995年）に京都府道453号宍人バイパス、令和3年（2021年）に国道372号南八田道路バイパスが開通し、利便性が向上しています。一方で、平成27年（2015年）には西本梅小学校が閉校となり、その跡地は地域活性化センターとして活用されています。また、令和5年（2023年）には幸福会の施設が撤退するなど、福祉施設や共同体の動向が人口・世帯数の推移にも影響を与えてきました。

伝承と史跡

南八田には、戦国時代の悲劇的な伝承が残されています。天正3年（1575年）頃、丹波平定を目指す明智光秀と、八上城主・波多野秀治の軍勢がこの地で激しく衝突しました。特に南北に流れる八田川周辺は激戦地となり、あまりにも多くの血が流れたことから、「血染めの八田川」と語り伝えられています。八田川に架かる橋のたもとにある五輪塔は、波多野勢の戦死者を供養するために建てられたものとされ、「南八田五輪塔」と呼ばれています。また、曹源寺の山門脇に集められた五輪塔群は、明智方の供養塔ともいわれています。かつては集落内や山麓に点在していましたが、圃場整備などでその多くが失われています。

その他、標高約200mの丘陵先端には南八田城跡があり、堀切や竪堀などの遺構や、南八田城の石碑が確認できます。かつては八田鉱山でマンガンなどが採掘され、福竜寺の石切場では黒雲母花崗岩が切り出されていました。

社寺と文化財

曹源寺は、南八田神垣内にある曹洞宗の寺院です。1396年に摂津国能勢から地蔵菩薩を迎えたのが始まりとされ、裏山の観音堂は船井郡三十三ヶ所観音霊場の札所となっています。

御霊神社は、南八田土林に鎮座する村社で、祭神は御霊八柱神です。1502年に籔田神社から勧請されたと伝わり、明智光秀を祀るという説もあります。境内には、樹高32m以上、幹周6m以上の巨木であるツクバネガシがあり、樹齢1600年ともいわれるこの木は、旧園部町の指定樹木でした。

交通、施設、生活

地域の主な道路として、国道372号（南八田橋、南八田道路バイパスを含む）や京都府道453号大河内口八田線、京都府道452号長谷八木線が通っています。公共交通は、南丹市営ぐるりんバスと京阪京都交通の路線バスが利用でき、地域内にバス停が設置されています。

生活関連施設として、南八田診療所、本梅地区浄水場、南八田加圧ポンプ場などの水道施設、南八田公民館があります。地域の拠点である西本梅地域活性化センター（旧西本梅小学校跡地）には、地域振興会の事務所、起業支援サテライトオフィス、レストラン、キッズルーム、資料館などがあり、様々な活動が行われています。また、南八田区広場や、社会福祉法人あけぼの学園の施設（るりけい寮、あけぼの荘）も置かれています。安全面では、南丹警察署西本梅駐在所があり、防災面では、地域活性化センターなどにAEDが設置され、災害時には地域活性化センターや南八田公民館などが避難所として指定されています。防災行政無線や火災サイレンも整備されています。

かつては南丹市立西本梅小学校や園部幼稚園西本梅分園、幸福会船南実顕地が存在しましたが、現在は閉校・撤退しています。

水道は南丹市公共上水道と特定環境保全公共下水道が整備されています。電話回線はNTTの園部MAに属していますが、同じ南丹市内でも八木町地区との通話には市外局番（0771）が必要です。郵便番号は622-0066で、地域内に郵便ポストが設置されています。電気は関西電力送配電の供給区域で、周波数は60Hzです。

地域指定

地域は都市計画区域外に指定されています。財産評価基準では倍率地域、大野晃提唱の集落状態区分では限界集落に該当します。京都府の条例に基づく移住促進特別区域、構造改革特別区域計画の「日本の原風景ふるさと南丹どぶろく特区」、第2次南丹市総合振興計画の癒やしの里山ゾーンにも指定されています。また、急傾斜地法や土砂災害防止法に基づき、急傾斜地警戒区域・特別警戒区域や土石流警戒区域・特別警戒区域が複数指定されています。農業振興地域内であり、農業地域類型は水田型の中間農業地域に分類されています。

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