圓徳寺 (恵那市)

圓徳寺（えんとくじ）は、岐阜県恵那市山岡町上手向に位置する臨済宗妙心寺派の寺院です。福田山という山号を持ち、静かな山間に佇んでいます。

歴史

圓徳寺の起源は、戦国時代末期にまで遡ります。当時、恵那郡富田村に存在した大圓寺の隠居寺として、圓通院（通玄院）がありました。しかし、元亀3年（1572年）11月、武田信玄の命を受けた秋山虎繁によって大圓寺が焼討ちされ、圓通院もまた、その影響を受けて荒廃しました。

その後、上手向村の西尾氏の尽力により、圓通院は上手向村八つ田へ移され、桂堂首座によって福田山圓徳寺と名を改め、草庵として再出発しました。この時が圓徳寺の開山となります。

江戸時代に入ると、加茂郡の瑞林寺七世であった竺源玄盛が、恵那郡南部へ布教に訪れた際、大圓寺を失い衰退していた圓通院、富田村の東光院、飯羽間村の徳祥寺の現状を目の当たりにし、これらの寺院の再興を決意しました。

元和2年(1616年)、竺源玄盛は圓徳寺を再興し、瑞林寺の末寺としました。再興当初、圓徳寺の寺格は平僧地と低かったものの、当地を知行所としていた旗本明知遠山氏から寺領として田を与えられ、享保年間には二十八石を所有する豊かな寺となりました。

安永・天明年間には、住持であった胡堂が堂宇を整備し、平僧地を法地に昇格させ、自ら法地第一世となりました。当時の堂宇は以下の通りでした。

本堂：縦八間三尺、横五間
庫裡：縦六間三尺、横五間（宝暦10年建立）
鐘楼門：縦二間、横二間
土蔵：縦三間三尺、横二間
長屋：縦五間三尺、横二間
厨司：縦二間三尺、横二間

安永2年(1773年)には、胡堂によって梵鐘が鋳造されました。その撞き初めは、明知陣屋の代官であった村上氏の母堂と、同じく代官であった沼田氏の内室によって行われ、明知陣屋の代官家と圓徳寺が親密な関係にあったことが伺えます。

十六世の一渓（俗名:朝川義忠）は、圓徳寺で32年間住持を務めた後、大正5年(1916年)に瑞林寺の住持となりました。


圓徳寺は、戦国時代の混乱から江戸時代の発展を経て、今日までその歴史を紡いできました。地域の人々の信仰の拠り所として、また歴史を伝える場所として、その存在は今もなお重要です。

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