土俵祭 (映画)

『土俵祭』の概要

『土俵祭』は、1944年3月30日に公開された大映京都製作の日本映画で、監督は丸根賛太郎、脚本は黒澤明によるものです。この作品は、相撲をテーマにした物語であり、主演は片岡千恵蔵が務めています。映画はモノクロを基にしており、上映時間は82分ですが、現在では78分の短縮版が現存しています。配信されているのは紅系です。

ストーリー

物語は明治18年（1885年）に舞台を設定し、黒雲部屋に入門した若い力士、竜吉が主人公です。彼は、親方の娘であるきよの提案によって四股名「富士ノ山」を名乗ります。厳しい稽古を重ね、ついに初土俵を踏むことに成功するものの、勝利至上主義の兄弟子、大綱との摩擦から思わぬ壁にぶつかります。その影響で、竜吉は練習ができなくなり、挫折を味わうのですが、親切な関取・玉ケ崎の助けにより白玉部屋に移籍することになります。

白玉部屋での新たなスタートを切った竜吉は、次々と勝利を重ね、入幕を果たします。しかし、さらなる試練が待っていました。過去の因縁を持つ大綱との対決が迫っているのです。相撲の舞台で数々の困難を乗り越え、竜吉は成長していきます。

スタッフとキャスト

製作には浅野辰雄が関わっており、脚本には初の監督作が話題となった黒澤明が起用されています。黒澤氏は助監督時代に経験した独特の視点を活かしつつ、脚本を作成しました。撮影は宮川一夫が担当し、美術を角井平吉と川村鬼世志が手がけました。

キャストには、片岡千恵蔵が富士ノ山こと竜吉に、そして市川春代がきよに扮しています。その他にも、羅門光三郎、山口勇、岸井明など、実力派の俳優たちが揃っています。が、現存する短縮版にはクレジットが記載されていないため、詳細なキャスト情報は少し不明な点も残ります。

制作の背景

興味深いのは、映画の制作過程において丸根監督があまり関与していなかったことです。前作の監督を終えた丸根は、次作に向けた準備をしていた謎の最中、急遽『土俵祭』の制作に取り組むことになりました。そのため、彼は作品の内容を知らないまま、監督を務めることとなります。

また、黒澤明の脚本は当初は特有の味わいを持っていましたが、彼の事情により改訂が加えられ、その改訂作業は丸根自身が行いました。改訂内容は具体的には不明ながら、黒澤の意図が削がれないように留意しながら作業を進めたとされています。

相撲の所作に関しては、千恵蔵と知り合いであった当時の小結、輝昇が指導を担当し、リアルな表現に寄与しました。

結論

『土俵祭』は、日本の相撲を舞台にした感動的なストーリーが展開される作品です。苦悩を乗り越えて成長する若者の姿が描かれており、観客に勇気と希望をもたらす映画となっています。

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