土屋計左右

土屋計左右：第一ホテルを築き上げた実業家

土屋計左右（つちや けいぞう）は、明治21年（1888年）に生まれ、昭和48年（1973年）に没した日本の実業家であり、第一ホテルの創業者として知られています。

生い立ちと三井銀行での活躍

神奈川県出身の土屋は、府立第一中学（現在の東京都立日比谷高等学校）を経て、東京高等商業学校（現在の一橋大学）専攻部を卒業後、三井銀行に入行しました。中学時代には、作家の谷崎潤一郎と同級生であり、親交がありました。また、三井銀行では、同郷で高等商業学校の同窓であった三代目・鈴木三郎助と親しく、彼の推薦もあって上海支店長や外国営業部長といった要職を歴任しました。その後、1936年には鈴木家の持株会社である鈴木三栄の常務理事に就任しています。

第一ホテル創業への道

鈴木三栄在籍中、土屋は同窓で遠縁にあたる岩下家一から、新橋駅近くの土地を購入してホテル事業を始めるように勧められます。この勧めに従い、小林一三からの助言と出資、さらに鈴木三郎助、鈴木三千代、池貝庄太郎、平沼亮三といった人々からの出資を得て、1938年（昭和13年）4月に第一ホテルを創業しました。土屋は1940年から社長を務め、その経営手腕を発揮しました。

社会的評価と晩年

土屋は、長年の功績が認められ、1961年に藍綬褒章を受章しました。1966年には第一ホテル会長に就任し、1970年には相談役となりました。1973年に亡くなった際には、社葬が執り行われ、その功績を偲びました。墓所は多磨霊園にあります。

親族

土屋の父は、衆議院議員を務めた石材商の土屋大次郎です。妻の富美子は、警視総監も務めた園田安賢の二女であり、実兄である園田実の妻は東郷平八郎の二女にあたります。長男の土屋計雄は、第一ホテル社長や日本ホテル協会会長を務めました。兄の隆三は、金子元三郎元衆議院議員の養子に入り、妹・カイの夫は下野紡績社長を務めた柿沼谷蔵の二男・柿沼正治郎であり、その妹・ときは東京鼈甲問屋組合長を務めた小川専助の妻です。

土屋計左右は、銀行家からホテル経営者へと転身し、第一ホテルを一流ホテルへと育て上げた傑物でした。その人脈と経営手腕は、日本のホテル業界に大きな影響を与えました。

もう一度検索