小川専助

小川専助

小川専助（おがわ せんすけ、1889年 - 没年不詳）は、江戸時代末期から昭和初期にかけて日本橋葺屋町で鼈甲珊瑚問屋を営んでいた家系の名跡です。この記事では、特に四代目専助を中心に、その生涯と業績について詳しく解説します。

四代目 小川専助

四代目小川専助は、1889年（明治22年）2月14日に、日本橋堺町の呉服商「小川屋」を営む小川専之助（二代目、1867年生）の長男・専太郎として生まれました。兄弟には萬次郎と道之助、妹には美禰、ふさ、艶、歌、壽恵子、春子がいました。京華中学校、京華商業学校を経て早稲田大学商科に進学しますが中途退学。

伯父にあたる本家の専助に子がなかったため、養子として迎えられます。その後、家業を継ぐために養父の元で修行を積みました。1917年（大正6年）1月に先代が亡くなると、日本橋葺屋町の鼈甲珊瑚問屋「小川屋」と四代目専助の名跡を継承しました。

四代目専助は、社会貢献にも熱心でした。1917年秋に東京湾を襲った台風の被害に対し、金五百円を寄付。その功績が認められ、賞勲局より銀杯を授与されました。さらに翌年には、恩賜財団済生会へ金壱万円を寄付し、1921年（大正10年）には紺綬褒章を受章しています。

事業においては、鼈甲珊瑚問屋に加え、洋品雑貨や化粧品商も手掛けました。1938年（昭和13年）には筑紫商事株式会社の取締役に就任。東京鼈甲問屋組合長、日本橋女学館理事、日本橋自動車協会会長なども歴任し、多方面で活躍しました。

私生活では、妻・とき（柿沼谷蔵三女）との間に子供はいませんでした。養子も迎えませんでした。邦楽を愛好し、その普及発展のために尽力。謡曲は梅若流、清元は清元延寿太夫、長唄は吉住小三郎門下の吉住小三榮、小唄は田村てるに師事しました。また、石川光明が遺した最後の作品である聖徳太子御像と翁面丸額を所持していましたが、1923年（大正12年）9月の関東大震災で焼失してしまいました。

三代目 小川専助

三代目専助は、1860年（万延元年9月10日）に東京府の内野新兵衛の弟・和吉として生まれました。1882年（明治15年）8月に二代目専助の養子となり、1899年（明治32年）に先代の死去に伴い家督を相続し、三代目専助を襲名しました。1915年（大正4年）には、財団法人日本橋女学館の設立に際し理事を務めました。1917年（大正6年）1月21日、急性肺炎により死去。妻は東京の深野國太郎長女で鈴木徳三郎養女のすず（1870年1月生）です。

初代及び二代目 小川専助

初代専助は三河国の出身で、江戸に出て鼈甲商を始めました。二代目専助もまた三河国の生まれで、幼少の頃に父に連れられて江戸へ。成長とともに商才を発揮し、初代に請われて養子となりました。幕末には銀座一丁目で小間物屋を開業しましたが、1872年4月（明治5年2月）の銀座大火で店舗を焼失。その後、日本橋葺屋町に店を再建し、「小川屋」と称しました。

二代目専助は、開港後すぐに横浜へ通い、支那商人から琥珀を一手に輸入。その後の琥珀ブームにより、大きな利益を得ました。妻・せんは東京府・四方平吉の養姉で1844年12月（または1845年1月、弘化元年11月）の生まれです。

また、日本に初めてセルロイドが入ってきたのは1877年（明治10年）の神戸であるという記録が残っています。翌1878年（明治11年）には、横浜の二十八番館に同様の赤い見本品が持ち込まれましたが、これを買い取ったのが小川専助でした。当初、加工法が不明であったため、京橋区の鼈甲職人・小蝶六三郎に依頼し、珊瑚球のような製品を製造しようと試みましたが、球状にすることはできても艶出しが難しく、商品化には至りませんでした。

家族・親族

四代目小川専助から見た家族・親族関係は以下の通りです。

父: 小川専之助（1867年2月1日生まれ）。東京呉服太物商同業組合創設者の一人。東京染織株式会社の取締役も務めました。
後妻:とら。有馬組十三代・森清右衛門の養女
妻: とき（1893年12月生）。柿沼谷蔵の三女。
弟: 萬次郎（1890年7月生）。兄に代わり小川屋を相続しましたが、後に廃業しました。内外煙草材料株式会社の代表取締役も務めました。
* 妹: ふさ（1899年7月生）。稲村源助に嫁ぎました。

小川専助家は、日本橋の商業史において重要な役割を果たした家系と言えるでしょう。

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