土岐頼兼

土岐 頼兼（とき よりかね）

土岐頼兼は、鎌倉時代末期に活躍した武将であり、土岐頼貞の十男です。彼の名前は、後醍醐天皇による鎌倉幕府打倒計画に参加したことによって歴史に刻まれています。元亨4年9月19日（1324年10月7日）、頼兼は、同族の頼員（舟木頼春）、多治見国長、足助氏の当主である足助貞親（加茂重成）らと共に、入京し戦いに挑むことになりました。

頼兼らが計画を練っていた際、彼らは三条堀川にある宿で、公家の尹師賢、四条隆資、洞院実世、平成輔、伊達優雅、法眼玄基とともに終夜の酒を酌み交わしていたと『太平記』巻一「頼員回忠事」に記されています。この無礼講の席で、頼員がうっかり計画の詳細を六波羅探題の奉行の娘である妻に漏らしてしまったことが、後に大きな問題を引き起こしました。彼の失言により、計画が事前に露見し、六波羅探題の配下にいる小串範行らの夜襲を受けることとなったのです。

急襲に驚いた頼兼は慌てて身を守ろうとしましたが、無防備であった彼は、共に寝ていた熟練の遊女の機転で鎧や兜を身につけることができ、寝ている仲間たちを起こすことにも成功しました。頼兼は国長と共に少数の手勢を率い、迫りくる六波羅の軍勢に対し奮闘しましたが、戦況は徐々に不利に傾きました。最終的には、彼らの拠点である館の裏手を突破され、もはや戦う術が無いと悟った頼兼は、自らの命を絶つことを決心し、自害して果てました。この事件は「正中の変」として知られています。

頼兼の墓は、鶴ヶ城の東に位置し、約700メートルの地点にあります。そこには、宝篋印塔が2基と五輪塔が4基ある自仞洞（じじんぼら）という山の中にあります。彼の死後、1905年11月18日に正四位が追贈され、今もなおその功績が評価されています。土岐頼兼の生涯は、戦国時代の武士の生き様を象徴するものであり、彼の勇敢な行動や最後の選択は、多くの人々に感動を与えています。歴史の中で彼の名が語り継がれる限り、土岐頼兼の想いは消えることはないでしょう。

もう一度検索