土肥遠平

土肥遠平：武士、小早川氏の始祖

土肥遠平（どひ とおひら）は、平安時代末期から鎌倉時代にかけての武将であり、鎌倉幕府の御家人として活躍しました。父は土肥実平。相模国土肥郷を領し、小早川村に館を構えたことから、後に小早川氏を名乗るようになりました。また、播磨国廣野を治めた播州肥田氏の始祖、肥田伊織実道の父とも伝えられています。

生涯

治承4年（1180年）に源頼朝が挙兵すると、父・実平とともにこれに参加。石橋山の戦いでは主力として奮戦するも敗北。頼朝が安房国へ脱出する際には使者として北条政子の元へ派遣され、頼朝の無事を伝えました。源平合戦（治承・寿永の乱）においては、源義経らと共に平家追討のため西国へ下向し、平家滅亡後にはその功績により安芸国沼田荘などの地頭に任じられました。

遠平は平賀義信の子である景平を養子に迎え、小早川景平と名乗らせて沼田荘を相続させました。一方、相模国内の所領と土肥宗家は嫡男である維平に相続させました。

建保元年（1213年）に和田合戦が勃発すると、和田氏と血縁関係にあった維平は和田方につきますが、敗北。維平は囚われの身となり、同年9月に処刑されました。しかし、遠平自身はこの戦いには関与せず、土肥郷と沼田荘の所領は安堵されました。

晩年は沼田荘へ下向し、その地で生涯を終えたと考えられています。墓所は小早川氏歴代の墓所がある米山寺です。また、妻である天窓妙仏尼（寺伝では源頼朝の娘とされる）を弔うため、父・実平と共に棲真寺（広島県三原市大和町平坂）を創建しました。

参考文献

今井尭ほか編『日本史総覧』 3（中世 2）、新人物往来社、1984年3月。
佐藤和彦 編『吾妻鏡事典』東京堂出版、2007年8月。
安田元久 編『鎌倉・室町人名事典』新人物往来社、1985年11月。
植垣節也『山氏神社　研究と史料』兵庫教育大学　国文学研究室　1984年9月。
御橋悳言『曾我物語注解 卷第一』続群書類従完成会、1986年3月。

関連項目

悲恋駒止桜

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