在日ウクライナ人

在日ウクライナ人について

在日ウクライナ人とは、日本に一定期間在住するウクライナ国籍の人々、またはウクライナにルーツを持つ人々のことを指します。これには、日本に帰化した人や亡命者、そしてその子孫であるウクライナ系日本人も含まれます。

歴史的背景

ロシア革命前後の時代には、ロシアから日本へ亡命してきた人々（白系ロシア人）の中に、ウクライナ人が多数いました。特に、シュウエツ家のような人々が代表的です。彼らの多くは、当時の日本領であった南樺太に定住しましたが、函館や神戸などで活躍した人もいました。これらの亡命者たちは、北海道、関東、関西を中心に居住し、一部は太平洋戦争前にアメリカなどへ移住しましたが、残った人々は日本国籍を取得し、ウクライナ系日本人のルーツとなりました。

戦後、ウクライナと日本の交流は一時停滞しましたが、1990年代末以降、日本政府が興行ビザの発給を緩和したことで、在日ウクライナ人の人口が増加しました。2003年には、在留ウクライナ人の数は1,927人にまで急増しましたが、2005年の興行ビザ発給制限により、2006年には387人、2020年には29人にまで大幅に減少しました。

近年の動向

2021年6月時点では、日本の中長期在留者・特別永住者は1,860人であり、その多くは女性（1,406人）です。年齢別に見ると、40代女性（559人）が最も多く、次いで30代女性（422人）が多い状況です。

2022年2月に始まったロシアのウクライナ侵攻以降、日本への移住・避難者が増加しました。2023年4月15日時点で、その数は2,302人に達し、その7割が女性です。2022年12月末時点での国内のウクライナ国籍者数は、前年同月の1,858人から4,158人へと倍増しており、特定活動での滞在が2,105人と大幅に増加しました。

統計情報

法務省の統計によると、在留資格別、都道府県別の在留者数が公開されています。

（※統計データは変動するため、詳細は法務省の公式資料をご確認ください。）

北方領土のウクライナ人

北方領土には、多くのウクライナ人が居住しています。1989年の調査では12％、1991年の調査では全人口の4割がウクライナ人であるとする調査結果もあります。2016年の時点では、国後島、択捉島、色丹島に計16,668人のロシア国籍の住民が在住しており、そのうち1割から4割がウクライナ系であるとされています。また、2014年に起きたウクライナ内戦の影響で、東部の親ロシア地域から北方領土に難民として入植したウクライナ人もいます。

著名な在日ウクライナ人・ウクライナ系日本人

日本で活躍する著名な在日ウクライナ人、またはウクライナにルーツを持つ人々は多岐にわたります。

ミハエル・コーガン: ウクライナ出身のユダヤ系亡命者で、タイトーの創立者。
エマヌエル・メッテル: ウクライナ出身のユダヤ系亡命者で、指揮者。
レオ・シロタ: ウクライナ出身のユダヤ系亡命者で、ピアニスト。
マルキャン・ボリシコ: 大鵬の父。
大鵬幸喜: 第48代横綱で、父がウクライナ人。
ヴィクトル・スタルヒン: 白系ロシア人の元プロ野球選手で、民族的にはウクライナ人。
滝沢カレン: モデルで、父がウクライナ人。
ナターシャ・グジー: 歌手、バンドゥーラ演奏家。
ヴァスィリー・エロシェンコ: 大正初期に日本で活躍した作家、言語学者、教育者。
ティアナ: 外国人タレント。
オクサーナ・ピスクノーヴァ: ロシア語講師で、NHKロシア語会話に出演。
ガラニン・ヤン: ウクライナ出身のプロ野球選手。
APELSIN: 日本でデビューしたウクライナ出身のダンスグループ。
アンドリー・グレンコ: ウクライナ出身の国際政治学者、日本研究者。
アンドリー・ナザレンコ: ウクライナ出身の政治評論家、外交評論家。
エバ・ハダシ: キエフ出身のウクライナ人学者、哲学博士（音楽学）、言語学修士、日本学者、音楽学者、作家、歌手、テレビ・ラジオパーソナリティ。
トカチョフ・サワ、トカチョフ・ヤン: 兄弟YouTuber (サワヤン)。
オクサーナ・ステパニュック: ウクライナのオペラ歌手、バンドゥーラ奏者、ボーカリスト。日本オペラ協会藤原歌劇団正団員。

まとめ

在日ウクライナ人は、歴史的な経緯や近年の国際情勢により、その数や構成が変化しています。日本で生活するウクライナの人々は、様々な分野で活躍しており、両国間の文化交流にも貢献しています。今後も、在日ウクライナ人の動向に注目していく必要があるでしょう。

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