地島

地島（じのしま）: 福岡県の自然と歴史を楽しむ島

地島は福岡県宗像市に位置し、玄界灘と響灘の境界に面する有人島です。離島振興法に基づく離島振興対策実施地域として、その特徴的な地形と豊かな自然が注目されています。島の面積は約1.57km²で、元々は「慈島」と呼ばれていましたが、のちに現在の名称に変更されました。

地理

地島は本土の鐘崎漁港から北西に約1.6km、神湊港から北北東に約5kmの位置にあり、周囲には沖ノ島や大島などがあります。この島の西側は玄界灘、東側は響灘という二つの海に囲まれ、細長い形状をしているのが特徴です。島内は主に花崗岩やひん岩で構成されており、雄大な山々がそびえています。最高峰の遠見山（187m）をはじめとして、祇園山（142m）、猿毛山（136m）などが存在し、これら山地には原生林が広がっています。

地島には泊漁港と白浜漁港の二つの漁港があり、両漁港間を結ぶ渡船が運航されています。周囲の自然と調和した漁村が形成されており、人口は122人、世帯数は54世帯とされています。

自然と文化

島内には約6,000本のヤブツバキが自生しており、1996年には遊歩道やツバキ園が整備され、訪れる人々に自然の美しさを楽しませています。また、地島には地島漁村センターという商業施設があり、地元産品を購入することができます。

教育施設も整備されており、宗像市立地島小学校や幼稚園がありますが、かつては中学校も存在していました。医療面では2016年に地島診療所が開設され、地域住民の健康が向上しています。

歴史

江戸時代には、この地に波止を築いた黒田長政の「殿様波止」が残っており、廻船業が盛んな時期もありました。また、朝鮮通信使が嵐を避けて停泊した記録があり、1719年には一行がこの地に滞在しました。彼らの記録によれば、この島には数十戸の民家しかなかったものの、質素ながらも瑞々しい自然が広がっていたと述べられています。

明治時代の初めには地島村としての一村が形成されましたが、1889年には宗像郡岬村の一部として編入され、その後1955年に玄海町となり、2003年には宗像市となりました。

産業と交通

地島の主要産業は漁業で、ウニやワカメ、アワビなどが獲れます。また、椿油の生産も行われています。交通は宗像市営渡船によって本土と繋がっており、島内には県道が整備されていますが、バスやタクシーの運行はありません。

名所と祭事

地島には厳島神社があり、宗像三女神が祭られています。宴事やイベントも行われており、毎年3月には地島椿まつり、7月には地島祇園山笠が開催され、多くの観光客が訪れます。

地島はその美しい自然や豊かな歴史、文化に溢れた魅力的な島として、多くの人々に愛されています。

もう一度検索