地底探検 (アルバム)

リック・ウェイクマン『地底探検』：壮大な物語と音楽の融合

『地底探検』（Journey to the Centre of the Earth）は、1974年に発表されたリック・ウェイクマンの2作目のアルバムであり、初のライブ・アルバムです。この作品は、ジュール・ヴェルヌの同名小説を題材にした壮大なコンセプトアルバムで、ロックとクラシック音楽を融合させた革新的なサウンドが特徴です。

ライブ・パフォーマンスの記録

1974年1月18日、当時イエスに在籍していたウェイクマンは、ロンドンのロイヤル・フェスティバル・ホールでのソロコンサートで、デヴィッド・ミーシャム指揮のロンドン交響楽団、イギリス室内合唱団と共演しました。このアルバムは、その模様を収録したライブ録音盤です。ミキシングは、同月21日から29日にかけてロンドンのモーガン・スタジオで行われました。

ウェイクマンは、幼少期からジュール・ヴェルヌの原作小説を100回以上も読み込んでおり、この作品への強い思い入れが、アルバムの制作につながりました。アルバム中には、エドヴァルド・グリーグ作曲の『ペール・ギュント』の中の「山の魔王の宮殿にて」の一部が引用され、物語の雰囲気を盛り上げています。

当初、LP2枚組、円形変形ジャケット、30ページのブックレット付きという豪華盤での発売が予定されていましたが、オイルショックの影響で、大幅に規模が縮小されました。

商業的な成功と評価

『地底探検』は、1974年5月にイギリスで発売されると、全英アルバムチャートで1位を獲得し、カーペンターズのアルバムを首位から引きずり降ろす快挙を達成しました。その後も10月までトップ30圏内を維持し、アメリカでも大ヒットを記録し、ウェイクマンにとって初の全米トップ10入りを果たしました。

当時、ウェイクマンは人気絶頂期のイエスに在籍していましたが、イエスでさえも成し遂げられなかったチャート1位を獲得したことは、彼の才能を広く知らしめる出来事となりました。この成功が、後にウェイクマンがイエスを脱退する理由の一つになったとも言われています。

1999年に発売されたアルバム『地底探検〜完結編』の日本盤帯には、本作が25年間で全世界で1500万枚を売り上げたと記されています。

制作秘話

指揮者のミーシャムは、ウェイクマンにモーツァルトの協奏曲の演奏を勧めたそうですが、ウェイクマンは「1日に8時間ずつ、1ヶ月の練習期間があれば引き受けられるが、時間が足りない」と辞退したというエピソードが残っています。

リマスター盤と収録曲

2003年には、音質を向上させたリマスター盤CDが発売されました。

収録曲

サイド1
旅路〜追憶 - "The Journey"/"Recollection" (21：15)

サイド2
戦い〜樹海 - "The Battle"/"The Forest" (19：00)

演奏者

リック・ウェイクマン：グランドピアノ、ハモンドオルガンC3、ローズ・ピアノ、RMIエレクトラピアノ、ホーナー・クラビネット、メロトロン M400 および M300、ミニモーグ×3、ホンキートンクピアノ

ゲイリー・ピッグフォード＝ホプキンス：ボーカル

アシュレー・ホルト：ボーカル

マイク・イーガン：ギター

ロジャー・ニューウェル：ベース

バーニー・ジェイムズ：ドラム

ロンドン交響楽団

イギリス室内合唱団

デヴィッド・ミーシャム：指揮

デヴィッド・ヘミングス：ナレーション

その後の展開

『地底探検』の成功を受けて、ウェイクマンは1974年9月から10月にかけてアメリカ、1975年1月に日本、2月にオーストラリアとニュージーランドでコンサートツアーを行いました。
これらのツアーでは、ウェイクマンとバンドが各地のオーケストラと合唱団と共演するというスタイルがとられました。

日本では、東京で4回、大阪と名古屋で各1回の公演が行われました。シャンブル・サンフォニエットがオーケストラを担当し、東京放送合唱団が合唱を務めました。

1975年2月4日にシドニーで行われたコンサートはビデオ撮影され、後にVHSとレーザーディスクで発売されました。2001年には、DVDと音声のみを収録したCDがセットになった『Journey to the Centre of the Earth - Live in Concert DVD (2001)』がリリースされました。

1999年には、本作の続編となるアルバム『地底探検〜完結編』が発表されました。

1975年のワールドツアー後、オーケストラのスコアが失われ、オーケストラとの再演が困難となりましたが、2011年に匿名の人物からスコアが送られたことで再演が可能となり、2012年11月29日にはブエノスアイレスで再演されました。

2012年には、スタジオ録音盤『Journey to the Centre of the Earth 2012』が限定発売されました。このアルバムでは、オリジナルの楽曲に新しいパートが追加され、全体が27のパートに分割されました。

Journey to the Centre of the Earth 2012 演奏者

リック・ウェイクマン：キーボード

アシュレー・ホルト：ボーカル

Hayley Sanderson：ボーカル

Dave Colquhoun：ギター

Lee Pomeroy：ベース

トニー・フェルナンデス：ドラムス

The Orion Orchestra

イギリス室内合唱団

Guy Protheroe：指揮

Peter Egan：ナレーション

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