地方 (職制)

地方（じかた）について

地方は、室町幕府に設置された土地に関する行政機関であり、特に京都市内の屋敷地についての安堵や訴訟を扱う役割を果たしていました。この機関の起源は、鎌倉幕府時代の地奉行に遡るものと考えられています。

地奉行から地方へ

鎌倉幕府では、土地の行政を担当する役職として地奉行が存在しました。当初は政所の職員がその業務を担っていましたが、得宗専制期に入ると、その役割は変わっていきました。得宗が幕府権力を握る中で、地奉行は得宗に連なる重要な役職となり、以降、室町幕府の地方もその系譜を受け継いでいました。

室町幕府成立と地方の役割

室町幕府が成立すると、地方も新たな形で土地行政を担うようになりました。特に南北朝時代の文和年間には、既に地方が存在しており、1380年代に入ると朝廷から移管された検非違使庁の機能を集約し、京都市内の屋敷地に関する訴訟を特に重視しました。このように、地方は室町時代の重要な行政機関として位置付けられるようになりました。

地方の構造と運営

地方には奉行人が置かれ、その長が頭人と呼ばれました。頭人の初期名称は「管領」であり、応永年間以降は摂津氏に世襲されていました。頭人の下には様々な職員が存在し、地方の運営が円滑に行われるよう取り組んでいました。

地方で起きた問題については、まず頭人に訴状が提出されました。頭人はその後、寄人を指定し、寄人は三問三答の形で当事者に尋問を行いました。続けて、地方内談と呼ばれる審理が行われ、その結果を頭人または双方の連名による奉書で通知しました。しかし、地方の決定だけでは解決できない問題が生じた場合は、将軍直轄の御前沙汰が開かれ、最終的な判断を下しました。この流れは、地方が責任を持った行政機関として機能していたことを示しています。

また、地方の業務には打渡が求められることもありました。その際、実際の打渡は公人によって行われ、さらに侍所へ奉書を送って打渡を要請することもありました。ただし、土地に関わる租税や買得といった手続きは政所に属していました。

転機と衰退

応仁の乱により、地方の業務は一時的に停止しましたが、長享年間までにはかろうじて再興されました。しかし、幕府の衰退とともに地方の機能も低下し、大永年間を最後に活動を停止しました。最後の頭人とされる摂津元造が内談衆に加わり、御前沙汰の一員として機能する中で、御前沙汰が地方の業務を吸収したとの見方が強まります。

また、将軍足利義晴の政治的対立によりしばしば京都を離れ、摂津元造も同様に不在となったことで、地方の活動に影響を及ぼしたと考えられています。その後、天文年間には細川京兆家が旧地方の業務を引き継いで行っていたことが記録されています。

結論

地方は室町幕府の土地行政において重要な役割を果たした機関であり、その功績は歴史的に大きな意義があります。地奉行から発展したその制度は、多くの課題を抱えながらも、時代に応じた行政体制として機能していました。

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