地方長官 (オペラ)

チャイコフスキーのオペラ『地方長官』について

『地方長官』（ロシア語: Воевода）作品3は、ピョートル・チャイコフスキーが作曲した全3幕4場のオペラです。アレクサンドル・オストロフスキーが自作の戯曲『Воевода (Сон на Волге)』を基にリブレットを執筆しました。

概要

作曲は1867年3月から1868年7月にかけて行われ、1869年2月11日（ユリウス暦1月30日）にモスクワのボリショイ劇場で初演されました。この初演は、アレクサンドラ・メンシコヴァのための慈善公演として開催されました。

しかし、1870年代にチャイコフスキーは本作の総譜を破棄してしまいます。ただし、第1幕の多くの部分が後のオペラ『オプリーチニク』へと転用されました。この転用によって『Воевода』の題材が残り、チャイコフスキーに師事したアントン・アレンスキーが1888年にオペラ『ヴォルガ川上の夢』を作曲するきっかけとなりました。

チャイコフスキーの死後、ソビエト時代に入り、本作はオーケストラと声楽のパート譜、および作曲者のスケッチを元に復元されました。

配役

配役に関する詳細な情報は割愛します。

楽器編成

ピッコロ
フルート2
オーボエ2
コーラングレ
クラリネット2（B♭とA）
ファゴット2
ホルン4（F）
トランペット2（B♭）
トロンボーン3
テューバ
ティンパニ
トライアングル
シンバル
大太鼓
ハープ
弦五部

舞台設定

時代: 17世紀中ごろ
場所: ヴォルガ川に面した大きな町

楽曲構成

序曲
第1幕
No. 1 女中の合唱と情景
No. 2 マリヤのバラードと二重唱
No. 3 情景
No. 4 バストリュコフのアリア
No. 5 情景と二重唱
No. 6 情景
No. 7 情景
No. 8 四重唱と情景
No. 9 フィナーレ
第2幕
No. 10 序曲
No. 11 使用人たちの合唱
No. 12 バストリュコフのアリア
No. 13 情景とドゥブロヴィンのアリア
No. 14 間奏曲と客室係の踊り
No. 15 情景とマリヤの歌
No. 16 情景
No. 17 二重唱
No. 18 情景
No. 19 情景とホロヴォード
第3幕
No. 20 間奏曲
No. 21 情景とドゥブロヴィンのアリア
No. 22 情景
No. 23 四重唱
No. 24 情景
No. 25 二重唱
No. 26 情景と四重唱
No. 27 情景
No. 28 五重唱
No. 29 情景と合唱
No. 30 情景
No. 31 終幕の情景

派生作品

第2幕の「間奏曲と客室係の踊り」は、管弦楽のための性格的踊り（1865年）を基にしており、作曲者自身によってピアノ・デュオにも編曲されています。また、チャイコフスキーはクラマーという筆名を用いて、本作の主題を用いたピアノ独奏のためのポプリを作曲しています（1868年）。

関連作品

チャイコフスキーは1886年に、アレクサンドル・オストロフスキーの『ヴォルガ川上の夢』のドモヴォーイのシーンに付随音楽を作曲しています。これはオペラの題材となった戯曲と同一の作品ですが、付随音楽とオペラの間には直接的な関連性はありません。

交響的バラード『地方長官』作品78（1891年）は、アレクサンドル・プーシキンによるアダム・ミツキェヴィチの詩の翻訳に基づいており、オペラと同じタイトルを持ちますが、音楽的にも原作の内容的にも関連性はありません。

リムスキー＝コルサコフのオペラ『パン・ヴォエヴォーダ』は、舞台がポーランドに設定されており、オストロフスキーの戯曲とは関係がありません。

外部リンク

地方長官の楽譜 - 国際楽譜ライブラリープロジェクト)
Tchaikovsky Research
地方長官 - オールミュージック

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