坂上昌子

坂上昌子：日本の声楽界を彩るソプラノ歌手

坂上昌子（さかがみ まさこ）は、1936年（昭和11年）に生まれた日本の声楽家であり、ソプラノ歌手として国内外で高い評価を得ています。また、音楽教育者としても後進の育成に尽力しており、その多岐にわたる活動は日本の音楽界に大きな影響を与えています。

音楽家としての道のり

坂上昌子は、著名な音楽家である木下保の長女として生まれました。幼い頃から音楽に親しみ、東京藝術大学音楽学部声楽科を卒業。その後、中山悌一、大熊文子といった著名な声楽家に師事し、声楽の基礎を徹底的に学びました。また、発声法においては森明彦に師事し、現在では小松英典の指導を受けています。さらに、父である木下保からは、「やまとことばを美しく」歌うための特別な指導を受け、これが彼女の音楽活動における重要な要素となりました。

1967年（昭和42年）に初のリサイタルを開催して以来、2003年（平成15年）までに計10回のリサイタルを開催。その間、玉川学園の『第九』ではソプラノソリストを3度務めるなど、コンサートソリストとしても活躍しました。

研究と教育への情熱

1986年（昭和61年）には、論文『日本歌曲における“やまとことば”の歌唱法と発声法』を日本声楽発声学会誌に発表。これにより、日本歌曲における独特の歌唱法と発声法の研究者としても注目を集めました。同年にはNHK-FMで『芥子粒夫人』が放送され、1989年（平成元年）にはFMで『平井康三郎作品』が放送され、幅広いリスナーにその才能を知られることとなりました。

坂上昌子は二期会会員であり、木下記念日本歌曲研究会の代表も務めています。玉川大学芸術学科の講師としても教鞭を執り、日本女子大学合唱団をはじめとする様々な団体のヴォイストレーナーとしても活躍。自身が主宰する「昌の会」では、後進の指導に力を注いでいます。また、バリトン歌手である小松英典が設立した“Schone Stimmen”の事務局も担当。この会では、「ヨーロッパ音楽のあるべき姿とクオリティを追求し、それを伝える演奏を行う」ことを目標としており、年数回の演奏会や各種講座を開催しています。音楽顧問として、エディット・マティス、コルト・ガーベン、クルト・モル、イエルク・デームス、渡邊明、瀬山詠子といった国際的な音楽家と協力しています。

長きにわたる指導

歌手の森山良子に対しては、14歳から50年以上にわたりヴォイストレーニングを担当。その他、田村典子、齋藤由美子、中曽根敦子、十日谷正子、新延真理、笹子昌美、花城清安など、数多くの門下生を育成しています。これらの実績からも、坂上昌子が教育者としてどれほど多くの人材を育ててきたかがわかります。

ディスコグラフィー

* 坂上昌子ソプラノリサイタル －やまとことばを美しく－ ソプラノ：坂上昌子、ピアノ：増山歌子

坂上昌子は、その卓越した歌唱力と教育者としての熱意をもって、日本の声楽界に多大な貢献をしている人物です。彼女の音楽に対する情熱は、多くの人々に感銘を与え、その影響は今後も続いていくでしょう。

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