坂上是則:歌と蹴鞠の才能に秀でた平安貴族
坂上是則(さかのうえ の これのり)は、
平安時代前期から中期にかけて活躍した
貴族であり、優れた
歌人としても知られています。彼は右馬頭・坂上好蔭の子として生まれ、
従五位下・加賀介の
官位にまで上り詰めました。さらに、名高い
歌人選集『
三十六歌仙』の一人に数えられていることからも、その高い歌の才能がうかがえます。
華麗なる経歴:朝廷での活躍
是則の経歴は華々しいものでした。
延喜8年(
908年)には大和権少掾に任ぜられ、その後大和大掾へと昇進。さらに、少監物、中監物、少
内記といった要職を歴任し、
延喜21年(
921年)には大
内記にまで上り詰めます。
醍醐天皇の治世の中期には、朝廷の中枢で重要な役割を担っていたことがわかります。その後、
延喜2年(
924年)には
従五位下・加賀介に叙任され、地方官として地方行政にも携わりました。彼は
延喜8年(
930年)に亡くなるまで、朝廷と地方の双方で活躍した稀有な存在でした。
類まれな才能:歌人としての評価
是則は、
歌人としても高い評価を受けていました。『寛平后宮歌合』や『大井川行幸
和歌』など、当時の重要な
和歌行事に数多く参加し、その才能を遺憾なく発揮しました。『
古今[[和歌集]]』の撰者たちに匹敵するほどの優れた
歌人であったと言われています。彼の作品は、『
古今[[和歌集]]』をはじめとする多くの
勅撰[[和歌集]]に39首も収められており、その実力は折り紙付きです。彼の歌集『是則集』も残されており、後世に彼の歌の才能を伝える貴重な資料となっています。『小倉
百人一首』にも「朝ぼらけ 有明の月と 見るまでに
吉野の里に 降れる白雪」という名歌が収められています。この歌は、冬の情景を見事に表現した名作として知られています。
蹴鞠の名手:天皇も感嘆した技量
是則は、歌の才能だけでなく、
蹴鞠の腕前にも秀でていました。
延喜5年(905年)3月2日、宮中の仁寿殿で行われた
蹴鞠の場で、彼は206回も蹴球を落とすことなく続け、
醍醐天皇を驚嘆させました。天皇は是則の技量を称賛し、
絹を賜ったという逸話も残っています。このエピソードは、彼の並外れた身体能力と、高い集中力を物語っています。
まとめ:多才な貴族、坂上是則
坂上是則は、
歌人として、そして
蹴鞠の名手として、
平安時代の
貴族社会で輝かしい功績を残しました。朝廷での要職、数々の
和歌集への入集、そして類まれな
蹴鞠の腕前。これらの事実は、彼の多才さと卓越した能力を如実に示しています。彼の生涯は、
平安時代の
貴族社会の一端を知る上で貴重な資料であり、私たちに多くの教訓を与えてくれるでしょう。彼の残した歌は、現代においても人々の心を動かし、
平安時代の文化を伝える重要な遺産となっています。彼の多彩な才能と、激動の時代を生き抜いた人生は、今もなお多くの人々の興味を引きつけています。