坂本駅 (熊本県)

坂本駅について

坂本駅は、熊本県八代市坂本町に位置する、九州旅客鉄道（JR九州）肥薩線の駅です。かつては旧坂本村の中心地として、また製紙工場への貨物輸送拠点として賑わいました。特急「かわせみやませみ」と特急「いさぶろう・しんぺい」が停車する駅ですが、その歴史は波乱に満ちています。

歴史

1908年（明治41年）6月1日：帝国鉄道庁により開設されました。
1909年（明治42年）
10月12日：国有鉄道線路名称制定により、人吉本線の駅となりました。
11月21日：線名改称により、鹿児島本線の駅となりました。
1927年（昭和2年）10月17日：線名改称により、肥薩線の駅となりました。
1952年（昭和27年）：当駅と十条製紙（後の西日本製紙）坂本工場を結ぶ専用線が開通しました。
1983年（昭和58年）4月1日：西日本製紙坂本工場専用線が廃止され、これに伴い車扱貨物も廃止となりました。
1984年（昭和59年）2月1日：貨物および荷物の取り扱いが廃止されました。
1986年（昭和61年）11月1日：電子閉塞装置導入により職員が無配置となり、業務委託駅となりました。
1987年（昭和62年）4月1日：国鉄分割民営化により九州旅客鉄道が継承し、JR九州管理の業務委託駅となりました。
1991年（平成3年）4月1日：JR九州管理から坂本村管理の簡易委託駅となりました。
2004年（平成16年）3月13日：特急「九州横断特急」運転開始に伴い、急行「くまがわ」が特急に格上げされました。
2007年（平成19年）11月30日：南九州近代化産業遺産群の物資輸送関連遺産の一つとして選定されました。
2008年（平成20年）11月：簡易委託が廃止され、完全無人化されました。
2016年（平成28年）3月26日：特急「九州横断特急」の人吉発着便と特急「くまがわ」が廃止され、優等列車の乗り入れがなくなり、普通・快速列車のみとなりました。
2017年（平成29年）3月4日：特急（D&S列車）「かわせみやませみ」が運転開始しました。
2018年（平成30年）3月17日：鹿児島本線直通の快速列車が廃止されました。
2020年（令和2年）7月4日：令和2年7月豪雨により駅構内が甚大な被害を受けました。

駅構造

相対式ホーム2面2線を有する地上駅で、かつては2面3線のホームと通過線、貨物側線を有していました。貨物取り扱いも行われ、西日本製紙坂本工場の専用線が分岐する比較的大きな駅でした。上りホームにはD51の停止位置目標表記や貨物ホーム跡が残っています。ホーム同士は構内踏切で繋がっています。

木造駅舎を持つ駅ですが、1986年11月以降は業務委託駅となり、1991年4月には旧坂本村管理の簡易委託駅、そして2008年11月頃に完全無人化されました。無人化後は、窓口が板で覆われ、地元住民の作品や鉄道ファンの写真のギャラリースペースとして活用されています。

2020年7月の豪雨で駅構内が水没するなど大きな被害を受け、その後は線路などが撤去され、駅構内とホームも埋め立てられ、災害復旧工事車両用の道路として利用されています。

利用状況

昭和35年5月の1日平均乗降客数は約3000人で、その8割が製紙工場関係者でした。貨物は月12000トンを扱い、熊鉄管内の81駅の中で旅客数16位、貨物発送量は10位でした。

駅周辺

熊本県道158号中津道八代線
八代市役所坂本支所（旧・坂本村役場）
坂本郵便局
熊本県営荒瀬ダム（解体工事中）
くま川ワイワイパーク（西日本製紙工場跡）
西日本製紙深水発電所（水力） - 大正10年竣工の産業遺産。
日光（にちこう）の棚田 - 日本の棚田百選に選定。

令和2年7月豪雨の影響

令和2年7月豪雨では、球磨川の氾濫により駅構内や周辺で多数の建物が被災し、水没、倒壊、流出などの壊滅的な被害を受けました。八代市役所坂本支所や坂本郵便局も移転を余儀なくされました。被災した家屋や建物の撤去後、駅周辺は復旧工事用の土砂置き場や資材置き場として活用されています。

バス路線の廃止

かつては、駅前の坂本駅前バス停から産交バスが発着していましたが、沿線の過疎化や豪雨災害の影響で、2023年10月1日に全ての路線バスが廃止されました。現在は、八代市乗合タクシーが運行されています。

隣の駅

九州旅客鉄道（JR九州）
肥薩線
段駅 - 坂本駅 - 葉木駅

参考文献

熊本産業遺産研究会編『肥薩線の近代化遺産』弦書房、2009年、58 - 69頁
曽根悟（監修）、朝日新聞出版分冊百科編集部（編集）「肥薩線・吉都線・三角線」『週刊歴史でめぐる鉄道全路線国鉄・JR』第2号、朝日新聞出版、2009年7月19日。

坂本駅は、その歴史の中で数々の変遷を経験し、特に近年では豪雨災害により大きな影響を受けました。しかし、その歴史は地域と共にあり、今もなお多くの人々の記憶に残る駅です。

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