吉都線

吉都線（きっとせん）

吉都線は、鹿児島県姶良郡湧水町の吉松駅から宮崎県都城市の都城駅を結ぶ、JR九州の地方交通線です。肥薩線の一部区間と共に「えびの高原線」の愛称で親しまれています。この路線は、霧島山の北東側を大きく迂回し、宮崎県西部のえびの市や小林市、そして南部の都城市と、県都である宮崎市、さらには鹿児島を結ぶ重要な役割を担っています。

歴史

吉都線の歴史は古く、1932年までは現在の吉都線区間が日豊本線の一部でした。かつては、博多と宮崎を結ぶ特急「おおよど」や、熊本と宮崎を結ぶ急行「えびの」といった優等列車も運行されており、九州の中央部と南部を結ぶ重要な役割を果たしていました。また、山岳地帯を走る路線としては珍しく、トンネルが全く存在しないという特徴も持っています。

現状

近年、吉都線の輸送密度はJR九州の路線の中で最も低い水準にあります。しかし、過去には特定地方交通線の廃止対象となる可能性がありましたが、例外規定により存続しています。現在は普通列車のみが運行され、1日に上下合わせて16本程度の列車が運行されています。ほとんどの列車が全線を通して運転されますが、一部の列車は日豊本線や肥薩線に直通しています。

運行形態と利用状況

2023年3月現在、吉都線では日中時間帯には3時間以上列車が運行されない時間帯もあります。また、一部の列車は、線路の修繕工事のため運休になることがあります。宮崎県では、平日に団体専用列車を運行する際に補助金を交付する制度を設けて、利用促進を図っています。車両は主にキハ40形が使用され、他路線の車両が定期運用されることはありません。しかし、記念列車として国鉄色に復元されたキハ40形が運行されています。

路線データ

管轄: 九州旅客鉄道（JR九州）
営業キロ: 61.6km
軌間: 1067mm
駅数: 17（起終点駅含む、吉都線所属駅のみでは15駅）
複線区間: なし（全線単線）
電化区間: なし（全線非電化）
最高速度: 85km/h
閉塞方式: 特殊自動閉塞式（電子符号照査式）
管轄支社: 鹿児島支社（都城駅構内を除く）

沿線と列車

吉都線は、山あいの集落や田園風景の中を走るローカル線です。過去には急行「えびの」などの優等列車も運行されていましたが、現在は全列車が普通列車です。2018年から2019年にかけては、沿線の高校生がデザインした「キット、願いかなう」というラッピング列車が運行され、話題となりました。この列車は、チョコレート菓子「キットカット」とのコラボレーション企画として実施されたもので、沿線地域を盛り上げました。

駅一覧

全列車が各駅に停車します。
JR九州の直営駅: 都城駅、小林駅
簡易委託駅: 高原駅
その他: 無人駅

まとめ

吉都線は、その歴史や沿線の豊かな自然、そして列車運行の状況など、さまざまな魅力を持つローカル線です。沿線住民の生活を支えるとともに、鉄道ファンにとっても興味深い路線であり続けています。

過去の使用車両

キハ80系 - 特急「おおよど」
キハ65形 - 急行「えびの」
キハ58系 - 急行「えびの」、普通列車など
キハ55系 - 準急・急行「えびの」
キハ52形 - 準急・急行「からくに」、普通列車など

歴史年表

1912年（大正元年）: 宮崎線 吉松 - 小林町間が開業
1913年（大正2年）: 小林町 - 都城間が開業、現在の吉都線が全通
1916年（大正5年）: 宮崎線 吉松 - 宮崎間が全通
1917年（大正6年）: 宮崎本線に改称
1923年（大正12年）: 日豊本線に改称
1932年（昭和7年）: 吉都線として分離
1959年（昭和34年）: 準急「えびの」運転開始
1974年（昭和49年）: 特急「おおよど」運転開始
1980年（昭和55年）: 特急「おおよど」廃止
2000年（平成12年）: 急行「えびの」廃止
2016年（平成28年）: 全列車ワンマン化
2018年（平成30年）: 「キット、願いかなう」ラッピング列車運行
2022年（令和4年）: 吉松駅が無人化
* 2023年（令和5年）: 都城駅が業務委託化、小林駅、都城駅が直営化

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