坂東三津五郎 (10代目)

十代目 坂東三津五郎：伝統と革新を体現した歌舞伎役者

十代目 坂東三津五郎（1956年1月23日 - 2015年2月21日）は、歌舞伎役者、俳優、そして日本舞踊坂東流の家元として、日本の伝統芸能に深く貢献しました。五代目 坂東八十助としても知られ、本名は守田 寿。屋号は大和屋、定紋は三ツ大、替紋は花勝見。俳名に一万尺を持ちます。

生い立ちと Familie

坂東三津五郎家は、江戸三座の一つである守田座の座元、守田勘彌家と深い繋がりがあります。十二代目守田勘彌の長男が七代目坂東三津五郎として養子に入ったことが縁となり、本姓が守田となりました。寿は、七代目三津五郎以来の男児として、その本名「壽作」にあやかり命名されました。

舞台役者としての軌跡

1962年9月、歌舞伎座で『黎明鞍馬山』の牛若丸を演じ、五代目坂東八十助として初舞台を踏みました。同時に、祖父が八代目坂東三津五郎を、父が七代目坂東蓑助を襲名し、大和屋三代の襲名披露興行となりました。1981年からは「初春花形歌舞伎」に父と共に常連として出演し、1998年まで11回の出演を重ねました。2011年には、十一代目市川海老蔵襲名披露興行で、病に倒れた十二代目市川團十郎の代役を務め、その実力を改めて示しました。

晩年と死

2013年8月、膵臓に腫瘍が見つかり、手術と治療のため入院。これにより「九月大歌舞伎」と「歌舞伎座特別舞踊会」を休演しました。2015年2月21日、膵臓癌のため59歳で逝去。最後の仕事は、亡くなる2週間前に収録されたNHK BSプレミアム『美の壺』への出演でした。

受賞歴

その卓越した芸は高く評価され、数々の賞を受賞しています。昭和63年度芸術選奨新人賞、平成18年度日本芸術院賞、第7回バッカーズ演劇奨励賞、平成21年度紫綬褒章、第30回松尾芸能賞大賞、第54回毎日芸術賞、そして第21回読売演劇大賞最優秀男優賞など、その功績は枚挙に暇がありません。

人となり

私生活では二度の結婚と離婚を経験。最初の結婚では、宝塚歌劇団出身の寿ひずるとの間に二女と長男（二代目坂東巳之助）をもうけましたが、後に離婚。その後、近藤サトと再婚しましたが、こちらも離婚に至りました。幼馴染である十八代目中村勘三郎との親交は深く、勘三郎の死に際しては「人生の半分をもぎ取られたようだ」とコメントしました。また、城郭建築を愛し、BS朝日で自身の冠番組を持つほどでした。祖父がフグ毒で亡くなったため、自身はフグを食べなかったというエピソードも残っています。

主な出演作品

歌舞伎: 『六歌仙容彩』の喜撰法師、『倭仮名在原系図』の奴蘭平、『新皿屋舗月雨暈』の魚屋宗五郎、『勧進帳』の武蔵坊弁慶など、数々の当たり役があります。
テレビドラマ: 大河ドラマ『勝海舟』、『武田信玄』、『徳川慶喜』、『功名が辻』などに出演。
* 映画: 『Mishima 金閣寺』、『竜馬を斬った男』、『利休』、『武士の一分』などに出演。

十代目 坂東三津五郎は、伝統を守りながらも常に新しい表現を追求し、歌舞伎界に大きな足跡を残しました。その芸と人柄は、これからも多くの人々に語り継がれることでしょう。

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