坪野鉱泉

坪野鉱泉の魅力と歴史

坪野鉱泉（つぼのこうせん）は、富山県魚津市にある名湯で、古くからの治療効果が期待されています。この温泉は、坪野温泉とも称されており、その歴史は明治初年まで遡ります。「行基菩薩が彫った薬師如来像のお告げによって発見された」と伝えられ、初めは堀田医師によって「金性」炭酸水と名付けられ、湯治場として開業されました。1956年に温泉施設が本格的に営業を開始し、多くの湯治客を迎えてきました。

泉質と効能

坪野鉱泉の泉質は弱食塩泉で、源泉温度は18℃です。湯治による効能は婦人病、皮膚病、神経痛、胃腸病に良いとされており、地域住民に愛されています。「薬師の水」とも呼ばれ、特に胃腸病に対する名水として知られています。近年では水汲み場が1997年に再設置され、今も地元の人々を中心に利用されています。

ホテル坪野の歴史

坪野鉱泉に併設されていた宿泊施設『ホテル坪野』は1970年頃に開業し、雄大な自然を楽しむ温泉リゾートとして多くの旅行者を魅了しました。6階建てで、面積3300m²の大規模な施設であり、洒落た和風レストランやダンスクラブ、多様な飲食店なども備えていました。しかし、1976年に開業した『ネッシーランド』の借金負担や売上の低迷から、1980年には自己破産し廃業に至りました。

廃墟化したホテル

廃業後、ホテル坪野は解体されずに放置され、次第に廃墟化していきました。1993年には周辺施設が解体されましたが、この廃墟は暴走族や非行少年の集まり場所となり、内部は荒廃しました。1985年には火災が発生し、1990年には隣接する薬師堂も全焼するなど、衰退が続きました。そのため現在では立ち入り禁止地点として知られ、心霊スポットとしても有名です。

心霊スポットと失踪事件

廃墟は「北陸最恐の心霊スポット」として名を馳せ、一部の人々には肝試しの目的で訪れられています。特に注目されるのが、1996年に発生した少女失踪事件です。この事件では、肝試しに訪れた19歳の女性2人が行方不明となり、捜査が続けられました。

失踪した2人に関する証言が18年も経ってからようやく出るなど、事件の真相解明には多くの時間がかかりました。2020年には、少女たちが乗っていたとされる車両が海底から発見され、その中から彼女たちの遺体も確認されました。この事件は、特に地域住民に強い印象を与え、今でも語り草となっています。

未来の計画

2023年には、坪野鉱泉の廃墟撤去が決定され、新たに富山湾を一望できる展望台が設置される計画が発表されました。この取り組みは地域活性化を目指しており、多くの期待を寄せられています。今後も坪野鉱泉は、新たな歴史を紡いでいくことでしょう。

このように、坪野鉱泉はその魅力的な温泉療養だけでなく、心霊スポットや失踪事件にまつわる不気味な歴史も持つ場所です。訪れる際は、そこで何があったのかという歴史を感じながら、温泉の癒しを楽しんでいただければと思います。

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