報恩寺 (和歌山市)

報恩寺の概要

報恩寺（ほうおんじ）は、和歌山県和歌山市吹上にある日蓮宗の重要な寺院であり、本山として広く知られています。山号は白雲山で、歴史的にも多くの人々に親しまれてきました。

歴史的沿革

報恩寺の起源は慶長14年（1609年）に遡ります。この年、日忠が要行寺を設立したことが始まりです。その後、寛文6年（1666年）の1月24日には紀伊徳川家の初代・徳川頼宣の正室である瑤林院が江戸で亡くなり、その遺体は池上本門寺で荼毘に付されました。頼宣は瑤林院の霊柩を自身で護り、和歌山へ持ち帰り、要行寺に埋葬しました。

このようにして要行寺は紀州藩主にとっての重要な場所となり、寛文9年（1669年）には藩主・徳川光貞が母への報恩と追福のため、要行寺を拡張して広大な白雲山報恩寺を築きました。この寺院は紀伊徳川家の菩提寺として、後の歴代藩主の正室のための祈りの場ともなりました。

しかし、明治維新の際に実施された廃仏毀釈によって、報恩寺は一度その存在を失います。明治11年（1878年）には復興がなされ、本山として再び機能し始めました。続いて明治12年（1879年）には、円如寺（旧観音寺）と合併しました。しかし、昭和20年（1945年）には和歌山大空襲によって本堂が焼失し、寺院は再び困難な時期を迎えました。

現在の報恩寺では、36世の長瀬日優貫首が住職を務めており、この寺の伝統と文化を守り続けています。

文化財

報恩寺にはいくつかの重要な文化財が存在します。和歌山市指定の文化財には、以下のものがあります。

• - 梵鐘
• - 紀州徳川家霊廟
• - 瑤林院の墓

また、日蓮宗は昭和16年（1941年）に本末を解体したため、元々所属していた寺院のことを「旧本山」「旧末寺」と呼称しています。報恩寺に関連するその旧末寺には、以下のような寺院があります。

• - 養心山法紹寺（和歌山県和歌山市神前）
• - 長束山安楽寺（和歌山県和歌山市中之島）
• - 妹背山海禅院（和歌山県和歌山市和歌浦中）
• - 普陀落山應供寺（和歌山県和歌山市相坂）
• - 多聞山正福寺（和歌山県岩出市曽屋）

交通アクセス

報恩寺へのアクセスは、南海和歌山市駅の2番のりばやJR和歌山駅の2番のりばから和歌山バスに乗車し、「日赤医療センター前」停留所で下車した後、徒歩約5分です。この利便性の高いアクセスは、訪れる観光客にとっても利用しやすいものとなっています。

おわりに

報恩寺は、歴史的、文化的な価値を持つ重要なスポットであり、多くの訪問者がその荘厳な雰囲気を楽しむことができます。この場所を訪れることで、日蓮宗の伝統や紀伊徳川家の歴史に触れることができるでしょう。

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