塘沽区

塘沽区について

塘沽区（とうこく、タンクーく、拼音: Tánggū）は、かつて中華人民共和国天津[[市]]に存在した市轄区です。渤海の海岸に位置し、海河の河口があることから、古くから海上交通の要衝として栄えました。天津[[市]]の中心部からは海河を下って約50kmの場所に位置し、華北地区における重要な港湾である天津港は、塘沽の臨海地域を中心に発展しました。

2009年10月21日、塘沽区は漢沽区、大港区と合併し、新たに副省級区である浜海新区が設置され、その歴史に幕を閉じました。

地理と産業

塘沽周辺は、巨大なコンテナターミナルをはじめ、精油所、石油化学コンビナート、製塩工場、造船基地などが集積する一大工業地帯です。この地域は、中国の近代工業の発祥の地の一つでもあり、中国最大の塩業企業である「天津鹸廠」は、1880年に北洋水師が開設した工場や、中国の化学工業の黎明期を担った「黄海学社」にルーツを持ちます。

1980年代の改革開放以降は、「天津経済技術開発区」（TEDA）や「天津港保税区」「国家海洋ハイテク開発区」などの工業団地が設けられ、多くの外資系企業が進出しました。これらの工業団地は、塘沽の経済発展を大きく牽引しました。

また、塘沽は91.2kmに及ぶ遠浅の海岸線と、域内を38kmにわたって流れる海河を有しており、水資源に恵まれた地域でもあります。水面面積は63平方kmにもおよび、淡水と海水の恵みが、豊かな水産資源を育んできました。高潮帯にはカニ類、中潮帯には魚類、エビ類、貝類などが多く生息し、特に渤海対蝦や梭子蟹は、その品質と味の良さで国内外に知られていました。

これらの水産資源を活かした海鮮料理は、この地域の食文化を彩ってきましたが、近年では渤海の汚染や海河の河口堰建設の影響により、漁業全体が打撃を受けています。

さらに、塘沽には地熱資源も豊富で、摂氏65度から78度の温泉が大量に湧き出ています。

公共交通機関としては、天津[[市]]中心部と塘沽を結ぶ津浜軽軌鉄路が2005年に開通しました。また、海河に架かる海河塘沽大橋は、主塔が一本の斜張橋としては世界第3位の規模を誇ります。

歴史

塘沽には、全国重点文物保護単位に指定されている重要な史跡も残っています。天津を守るために築かれた大沽口砲台（大沽口炮台遺址）は、津門十景の一つにも数えられ、明の永楽年間に創建された古刹である潮音寺も現存しています。

これらの史跡は、漁民、農民、製塩民らが共存してきた塘沽の歴史を今に伝えています。塘沽は古くから戦略上重要な場所であり、港としても栄えてきました。また、日中間の停戦協定である塘沽協定も、この地で締結されました。

行政区画としては、1949年に設置された塘大区が前身であり、1952年に塘沽区と改称されました。

行政区画（廃止直前）

塘沽区は、廃止直前には以下の行政区画によって構成されていました。

新村街道
解放路街道
三槐路街道
新港街道
向陽街道
杭州道街道
新河街道
大沽街道
北塘街道
渤海石油街道
胡家園街道
新城鎮

これらの行政区画は、現在では浜海新区の一部となっています。

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