塩の行進

塩の行進（しおのこうしん）

塩の行進、または塩に対するサッティヤーグラハは、1930年にマハトマ・ガンディーと彼の支持者たちによって実施された抗議行動です。この行進は、イギリス植民地政府による塩の専売制度に反対して行われました。具体的には、グジャラート州のアフマダーバードからダンディー海岸までの約386kmを歩くもので、2023年10月の時点でもこの行動はインドの独立運動における象徴的な出来事として認識されています。

背景

1929年末、インド国民会議は独立のシンボルとしてラーホールで国旗を掲揚する出来事がありました。その後、ガンディーやネルーらは、1930年にインド完全独立（プールナ・スワラージ）の実現を掲げました。彼らは市民的不服従を広める必要性を声にし、宗教的に中立的な運動として多くの人々を一つにまとめることを目指しました。

ガンディーは非暴力的な抗議が運動の核であると信じており、彼の哲学であるサッティヤーグラハは「真実の力」であると位置づけました。サッティヤーグラハはただの抗議に留まらず、人々を団結させるための手段でもありました。

塩の専売制度の認識

1930年の初め、ガンディーはイギリスの塩の専売制度に注目しました。これはインドにおけるイギリスの支配の重要な収入源であり、法律により他では塩を生産したり販売したりすることが禁止されていました。塩は生活必需品であり、全ての人々にとって重要であるため、塩への課税には多くの不満が生じていました。このため、ガンディーは塩の専売に抗議することが国民の心を掴む絶好の機会であると考えました。

行進の開始

1930年3月、ガンディーはインド総督アーウィン卿に宛てて11項目の要求を提出しましたが、回答はありませんでした。これを受けて、ガンディーは3月12日に約78人と共にダンディー海岸を目指す行進を開始しました。この際、彼らはサーバルマティー川からスタートし、4週間の間に多くの地域を通過しました。

行進中、多くの人々が道端で彼らを支持し、ガンディーの元には数千人の支持者が集まりました。4月5日、ようやくダンディーの海岸に到達した時、ガンディーは海水から塩を取って「これで大英帝国の基盤を揺るがした」と宣言しました。

塩の行進がもたらした影響

この行進はインド全体での非暴力的な抗議運動を刺激しました。塩の専売に対する抗議は4月13日まで続き、同時にイギリス製品のボイコット運動も広がりました。インドの様々な地域で人々が塩を非合法的に製造・販売する様子が見られました。

行進の反響として、イギリス政府は6,000人以上の人々を逮捕し、抑圧的な従事を行いました。ペシャーワルではガンディーの弟子であるカーン・アブドゥル・ガッファール・カーンが指導する運動も展開され、のちに大規模な衝突が発生しました。

その後の展開

ガンディーは逮捕されるも、その後も独立運動を推進しました。1947年にはインドが独立を果たしますが、ガンディーの経済的な評価は後に議論になりました。

塩の行進の再現

2005年には、塩の行進の75周年を記念して、マハトマ・ガンディー財団がその行動を再現しました。「平和、正義、自由のための国際的行進」として、多くの人々が同じルートを歩きました。この運動は、ガンディーの理念が今なお生き続けていることを示しています。

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