ペシャーワル

ペシャーワルは、パキスタンのカイバル・パクトゥンクワ州の州都であり、アフガニスタンとの国境に近い場所に位置しています。この地は、古くから様々な民族が行き交う要衝として、多様な歴史を刻んできました。

古代のペシャーワル

ペシャーワルは、カイバル峠からわずか50kmという地理的条件から、古代より多くの民族の支配を受けてきました。紀元前6世紀にはガンダーラ王国の支配下にあり、インダス文明やバクトリア地方との結節点としても重要な役割を果たしました。紀元前100年頃には、人口12万人を誇る世界でも有数の大都市であったとされています。

ヴェーダ文献に登場するプシュカラヴァーティという町が、この地にあったとする説もありますが、考古学的には確証されていません。ペシャーワルの確実な歴史は、クシャーナ朝によって建設されたプルシャプラという都市から始まります。それ以前には、ハカーマニシュ朝やアレクサンドロス大王の支配を受け、その後、マウリヤ朝の時代には仏教が伝来しました。グレコ・[[バクトリア王国]]、インド・グリーク朝を経て、パルティアなどの中央アジアからの民族の侵入が相次ぎました。

仏教文化の中心地として

ペシャーワルがガンダーラ地方の中心となったのは、クシャーナ朝のカニシカ王の時代です。カニシカ王はペシャーワルを仏教研究の中心地として発展させ、巨大な仏舎利塔（ストゥーパ）を建設しました。このストゥーパは、高さ120mにも及ぶ壮大なもので、中国の僧侶・法顕もその美しさを記録しています。しかし、玄奘三蔵が訪れた634年には、仏教寺院は荒廃が進んでいたとされています。

イスラム化以後のペシャーワル

988年以降、ペシャーワルはトルコ系ムスリムの支配下に入り、16世紀まではパシュトゥーン人の支配を受けました。ムガル帝国の初代皇帝バーブルは、ペシャーワルの再興を促し、孫のアクバルは現在のペシャーワルと名付け、都市を拡充しました。この時期に、ムスリムの技術者、官僚、商人、科学者、建築家、教育者、神学者などが移り住み、都市は大きく発展しました。

近代のペシャーワル

アフガニスタン紛争中には、ムジャーヒディーンの政治的な中心地として機能し、多くのアフガニスタン難民が居住するようになりました。

ペシャーワルの気候

ペシャーワルは、ステップ気候に属し、夏季は非常に高温で、冬季は温暖です。6月には日中の平均気温が40℃を超える一方、1月には平均最低気温が4℃程度まで下がります。年間降水量は約400mmで、モンスーン気候の影響は受けません。降水量は早春と夏季に多く、特に2月から4月にかけては、低気圧の影響で降水量が増加します。

ペシャーワルの交通と施設

ペシャーワルにはバシャ・カーン国際空港があり、国内外へのアクセスを担っています。

ペシャーワルの姉妹都市

ペシャーワルは、中国のウルムチ市、ポルトガルのリスボンと姉妹都市提携を結んでいます。

ペシャーワルは、古代から現代に至るまで、様々な文化が交錯してきた歴史を持つ都市です。その多様な歴史は、現在の街並みや人々の生活にも色濃く反映されています。

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