塩化カドミウム

塩化カドミウム：性質、構造、用途、そして毒性

塩化[カドミウム]は、カドミウムの塩化物であり、化学工業において重要な役割を果たす化合物です。無色の結晶で、吸湿性があり、水に非常に溶けやすいという性質を持っています。その結晶構造は、独特の塩化カドミウム型構造として知られ、多くの金属塩化物に影響を与えています。

物理的性質

塩化カドミウムは無色の結晶で、融点は568℃、沸点は964℃と高温です。比重は4.08と比較的高い値を示します。水への溶解度は非常に高く、25℃において100gの水に120gもの塩化カドミウムが溶解します。しかし、水溶液中では完全に電離するわけではなく、一部は錯イオンや非解離の状態を保ったまま溶存しています。また、硫化水素ガスを吸収するという性質も持ちます。プロトン性溶媒であるアセトンやエタノールにも溶解しますが、無極性溶媒であるジエチルエーテルには溶けません。さらに、不燃性ですが、加熱すると塩素や酸化カドミウムを含む有害なガスを発生させるため注意が必要です。

無水物の他に、1水和物、2.5水和物、4水和物などの水和物も存在し、それぞれ異なる結晶構造を持ちます。2.5水和物は風解性があり、温度変化によって結晶水が脱離します。

結晶構造

塩化カドミウムの結晶構造は、そのユニークな点です。無水塩化カドミウムは三方晶系に属し、塩素イオンが面心立方格子構造を形成し、その隙間にカドミウムイオンが位置する層状構造を取っています。カドミウムイオンは6個の塩素イオンに囲まれ、八面体配位構造を形成しています。この構造は、塩化マグネシウム、塩化鉄(II)など、多くの金属塩化物に見られるため、塩化カドミウム型構造と呼ばれています。ヨウ化カドミウムも類似した構造を持つものの、ヨウ素イオンの配列が異なるため、ヨウ化カドミウム型構造と区別されます。

水和物においても、カドミウムイオンを中心とした八面体構造が見られますが、水和水の存在により構造が変化します。1水和物は鎖状構造、2.5水和物は三次元的なフレームワーク構造を形成します。

合成方法

塩化カドミウムは、金属カドミウムと塩素ガス、あるいは塩化水素ガスを直接反応させることで合成できます。また、酸化カドミウムと塩化水素ガスを反応させる方法も用いられます。さらに、金属カドミウムを塩酸に溶解させ、蒸発乾固させることで水和物の混合物を得ることができ、加熱により結晶水を除去し無水物を得ることも可能です。塩化チオニルを用いた脱水法も知られています。

用途

塩化カドミウムは、様々な用途に用いられます。

他のカドミウムイエローなどの顔料'>[カドミウム]]化合物の合成原料: 硫化カドミウム]、ステアリン酸[カドミウム]など、多くのカドミウム化合物の合成に用いられます。
メッキ材料: 金属のメッキ処理にも使用されます。
太陽電池材料: 特にテルル化[カドミウム]系太陽電池において、光電変換効率の向上に寄与することが知られています。CdTe薄膜の表面処理剤として用いることで、光電変換効率を大幅に向上させます。
殺菌剤: 過去には芝の殺菌剤として用いられていましたが、現在ではその使用は制限されています。

毒性と規制

塩化カドミウムは、強い毒性を持ち、発癌性も懸念されています。吸入や経口摂取によりカドミウム中毒を引き起こす可能性があり、取り扱いには細心の注意が必要です。多くの国で、その製造、使用、廃棄に関する厳しい規制が設けられています。日本では、毒物及び劇物取締法で劇物に指定されており、PRTR法の特定第1種指定化学物質にも含まれます。欧州連合でもREACH規則において高懸念物質として指定され、取り扱いに関する規制が強化されています。

参考文献

* 記載されている参考文献リスト

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