増富温泉

増富温泉（ますとみおんせん）

増富温泉は、山梨県北杜市須玉町比志に位置し、多くの文人や著名人が訪れた歴史深い温泉地です。また、増富ラジウム温泉とも呼ばれています。

泉質について

この温泉は、放射能泉の一種であり、ラジウムの含有量が非常に豊富です。その数値は、時には1リットルあたり12,300マッヘに達することもあると記録されています。源泉の温度は約30℃で、ややぬるめの設定です。そのため、一般に60分近くの長時間浴が推奨されています。泉質は二酸化炭素とナトリウムを含む塩化物・炭酸水素塩泉で、特徴的な高張性中性低温泉です。

効能

増富温泉の効能は多岐にわたります。糖尿病、痛風、筋肉疲労、精神的な疲労、循環器障害、リュウマチ、アレルギー体質、肝機能障害、胆石症などに効果があるとされています。また、更年期障害やアトピー性皮膚炎にも良いとされ、さまざまな症状に対する温泉治療が期待されています。

温泉街の魅力

温泉の周囲は秩父多摩甲斐国立公園内に位置し、渓谷が美しい風景を展開しています。温泉街には、数軒の旅館が存在し、古くからの湯治場として栄えてきました。現在も8軒の旅館が営業しており、訪れる観光客を迎えています。残念ながら、共同浴場は存在しませんが、日帰り入浴施設「増富の湯」がありました。しかし、2023年4月からは老朽化のため休業しています。

歴史

この温泉地の名前は、1875年から1959年まで存在した増富村に由来しています。温泉には武田信玄が金山開発中に見つけたという伝説があり、その効能から多くの人々に利用されてきました。特に、周囲の美しい自然を望む地であり、文学者や画家にとっても魅力あふれる場所でした。1965年には国民保養温泉地に指定されるほどその評価は高まりました。2004年には、過去の温泉偽装問題もあったものの、増富温泉自体はその品質と効能を多くの人々に支持されています。

文学と増富温泉

増富温泉を訪れた著名な文学者には、高浜虚子や井伏鱒二などがいます。高浜虚子は、1917年に増富温泉を訪れ、『國民新聞』にてその美しさや楽しさを記した記事を発表しました。井伏鱒二もこの温泉を何度も訪れ、彼の作品にもその影響が色濃く残されています。また、田中冬二もやはりこの温泉を訪れ、さまざまな文書を残しています。これらの文学者が訪れるほど、この場所が特別な存在であることがわかります。

アクセス情報

増富温泉へのアクセスは、公共交通機関を利用する場合、中央本線の韮崎駅から山梨交通バスで約60分ほどです。また、自動車を利用する際は、中央自動車道の須玉インターチェンジから県道604号、601号、そして23号の増冨ラジウムラインを経由し、約40分で到着します。美しい山々に囲まれた温泉地を訪れて、リフレッシュしたひとときを過ごしてみてはいかがでしょうか。

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