壱岐丸 (2代)

壱岐丸（いきまる）についての詳細

壱岐丸は、鉄道省が運営する関釜航路で使用される貨物船で、同航路において重要な役割を果たしました。この船は、壱岐丸型の最初の船舶であり、姉妹船には対馬丸が存在します。この記事では、この二つの船の二代目について詳しく説明します。

概要と建造背景

関釜航路は、鉄道輸送と海上輸送をつなぐ重要な交通路であり、特に金剛丸型の就航によってその輸送力は格段に向上しました。しかし、日中戦争の開始により、更なる輸送需要の増加が求められるようになります。それに応じて、貨客分離の策が講じられ、二隻の貨物船が建造される運びとなりました。壱岐丸は1940年に、対馬丸は1941年に播磨造船所で完成し、すぐに関釜航路での運航を始めました。

壱岐丸は最大で4,617トンの貨物を搭載できる能力を持ち、当時としては鉄道連絡船中最大の貨物積載能力を誇っていました。そのため、貨物船による夜間の運航が行われるようになり、旅客便は景福丸型や金剛丸型の船舶によって運行される体制が整えられました。

戦時中の運航と困難

しかし、太平洋戦争が始まると、その輸送量はさらに増加し、当初の体制を保つことが困難になっていきました。1945年4月5日、壱岐丸は下関沖で機雷に接触し、航行不能となりましたが、迅速に修理され回復しました。しかし、今後関門海峡には大量の機雷が敷設され、その結果、関釜航路は機能不全に陥りました。

同年6月20日には、関釜連絡船が舞鶴、敦賀、新潟に分散配備され、関釜航路は実質的に休止となります。壱岐丸と対馬丸は、日本各地と朝鮮半島をつなぐ輸送船として使用され続けましたが、7月14～15日にはアメリカ海軍による攻撃により青函航路が壊滅。その結果、元関釜連絡船が青函航路に振り替えられることが決定されました。

壱岐丸は仙崎港に停泊していたことから、急遽函館へ向かうことができ、終戦後の8月22日に函館港に到着しました。その後、1945年8月24日から青函航路での運航を再開し、1948年6月5日にその運航を終了しました。

壱岐丸の譲渡とその後

運航終了後の1950年3月1日、壱岐丸は興安丸と共に国家賠償の一環として朝鮮郵船に譲渡されました。一方で対馬丸は1945年8月13日に元山港での機雷接触による損傷があり、その後ソ連軍による使用を防ぐため自沈する結果となりました。

戦時の船舶計画

戦時中には、壱岐丸型貨物船の次の船舶として、貨車航送船のW型戦時標準船の改良型であるH型戦時標準船が7隻建造される計画がありました。実際には関釜航路に就航したことはなかったものの、これに基づいて青函連絡船の石狩丸型が建造されることとなりました。

壱岐丸は戦時中の輸送において重要な役割を果たし、その歴史は今も色あせることなく語り継がれています。

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