夏侯惇

夏侯惇（かこう とん）

夏侯惇（かこう とん、? - 延康元年4月25日（220年6月13日））は、後漢末期から三国時代にかけて活躍した武将および政治家です。字は元譲（げんじょう）であり、安徽省の亳州市出身として知られています。彼に関する記録は『三国志』の魏志「諸夏侯曹伝」に記されていますが、日本の小説や漫画においては「かこうじゅん」と記されることが多いです。

出自

夏侯惇は前漢の高祖に仕えた夏侯嬰の子孫で、曹操の父である曹嵩とは叔父と甥の関係にあります。また、曹操の従兄弟である夏侯淵とは遠い血縁にあたります。

生涯

夏侯惇は14歳の時に、学問の師を侮辱した者を殺害し、その荒っぽい性格が知られるようになりました。曹操が挙兵する際には、その副将として従いました。190年には奮武将軍とされ、その司馬に任命されます。曹操が徐栄に敗れた際には、夏侯惇は曹操や曹洪と共に、揚州へ赴き、優れた兵士を集めようとしましたが、多くを失う結果となりました。

やがて曹操が兗州で勢力を拡大していく中で、夏侯惇は別軍を指揮して白馬に駐屯します。彼は優れた部下を見出し、韓浩や典韋らを仲間にしました。しかし、徐州の陶謙と対立した際、夏侯惇は濮陽を留守にし、内通者による謀反に直面します。彼は急いで駆けつけ、内通者を取り締まることで曹操軍の安定を図りました。

その後、呂布との戦いで左目を負傷し、このことから「盲夏侯」とあだ名されるようになります。夏侯惇は陳留太守や済陰太守など多くの役職を歴任し、農民を助けるために土木作業にも積極的に取り組みました。

199年には河南尹に任命され、その後も曹操の戦いに従軍しながら活躍します。特に劉備が洛陽を狙った際には、迎撃を行って敵を退けました。しかし、博望坡の戦いでは夏侯惇は大敗を喫し、罪を悔いて曹操に赦されるというエピソードもあります。

夏侯惇は213年には伏波将軍に昇進し、特に曹操からの厚遇を受けました。219年、彼は魏の前将軍として登用され、曹操が帝位につく際には、その提言に関与したと言われています。しかし、220年に曹操が亡くなると、彼自身も病に侵され、この世を去りました。彼は忠侯として功績を称えられ、233年には曹操の廟庭に祭られるほどの人物でした。

性格と評価

夏侯惇は教養を重んじる一方で、兵士たちを大切にし、軍の遠征中でも学びを忘れない姿勢が評価されています。また、彼の清貧な性格と、物資に恵まれずとも人々に施しを行う姿勢は、多くの人々から親しまれました。彼の名は今も中国の歴史や文学の中で語り継がれています。

家族

夏侯惇には長子の夏侯充がおり、彼も父の後を継いでいます。また、孫や曾孫の存在も記録されていますが、夏侯惇の直系子孫は後に途絶えたと言われています。彼には夏侯廉という兄がおり、彼もまた名声の高い人物でした。より詳しい家系については『三国志』や演義などから知ることができます。

今もなお、夏侯惇は武勇と忠誠心で知られる重要な歴史的人物であり、多くの後世の作品に影響を与えています。

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