夏月 (駆逐艦)

夏月 (なつづき)

概要

夏月は、大日本帝国海軍が建造した秋月型[[駆逐艦]]の11番艦です。計画番号順では花月に次ぐ艦ですが、竣工は秋月型の中で最後となりました。艦名は、片桐大自の研究によれば「夏の月」を意味します。

艦歴

起工から竣工まで

1941年（昭和16年）の戦時急造計画（マル急計画）に基づき、仮称第364号艦として建造が計画されました。当初は三菱長崎造船所で建造される予定でしたが、後に佐世保海軍工廠での建造に変更されました。

1944年（昭和19年）5月1日に佐世保海軍工廠で起工し、同年12月2日に進水しました。当初の竣工予定は昭和20年3月末でしたが、機銃の入手遅延により、1945年（昭和20年）4月8日に竣工しました。竣工後は呉鎮守府籍となりました。

就役後の活動

就役後、訓練部隊である第十一水雷戦隊に編入されました。4月20日に残工事を終え、瀬戸内海での訓練に向かう予定でしたが、工事の都合で出港が遅れ、4月25日にようやく瀬戸内海に到着し訓練を開始しました。

その後、5月20日付で第三十一戦隊に編入され、軽巡洋艦「北上」、駆逐艦「波風」とともに海上挺進部隊を編成しました。5月25日には第四十一駆逐隊に編入されました。この間、5月3日には第十一水雷戦隊の臨時旗艦を務めました。

戦闘と終戦

1945年6月16日、六連島灯台付近で触雷し小破しました。佐世保に曳航され、7月1日から25日まで修理を行いました。終戦は門司で迎えました。夏月は秋月型の中で最後に完成した艦であり、竣工から終戦まで約4ヶ月と短く、大規模な戦闘には参加しませんでした。

戦後

1945年10月5日に除籍され、その後は復員輸送艦として使用されました。横須賀で特別保管艦として係留された後、1947年（昭和22年）8月25日に浦賀で賠償艦としてイギリスに引き渡されました。しかし、直ちに浦賀船渠に売却され、解体されました。

夏月は、1947年9月3日に特別輸送艦の指定を解かれ、同年9月10日から解体が開始され、翌年3月1日に完了しました。

歴代艦長

艤装員長

西野繁 中佐：1945年2月15日 - 1945年4月8日

駆逐艦長

西野繁 中佐/第二復員官/第二復員事務官/復員事務官：1945年4月8日 - 1946年12月28日
松下寛 復員事務官：1947年8月5日 - 1947年9月5日

脚注

艦長は1945年12月20日以降は「艦長」と表記。
歴代艦長は特記なき限り『艦長たちの軍艦史』360頁による。

参考文献

第十一水雷戦隊司令部『自昭和二十年四月一日至昭和二十年四月三十日 第十一水雷戦隊戦時日誌』『自昭和二十年五月一日至昭和二十年五月三十一日 第十一水雷戦隊戦時日誌』（昭和19年6月1日～昭和20年6月30日 第11水雷戦隊戦時日誌（7）） アジア歴史資料センター レファレンスコード：C08030128000
遠藤昭『高角砲と防空艦』（原書房、1975年）
片桐大自『聯合艦隊軍艦銘銘伝 全八六〇余隻の栄光と悲劇』（光人社、1993年）、ISBN 4-7698-0386-9
雑誌「丸」編集部『写真 日本の軍艦11 駆逐艦II』（光人社、1990年）、 ISBN 4-7698-0461-X
外山操『艦長たちの軍艦史』（光人社、2005年） ISBN 4-7698-1246-9
雑誌『丸』編集部 編『ハンディ判日本海軍艦艇写真集18 駆逐艦秋月型・松型・橘型・睦月型・神風型・峯風型』光人社、1997年11月。ISBN 4-7698-0819-4。
「歴史群像」編集部『歴史群像太平洋戦史シリーズVol.23 秋月型[[駆逐艦]]』（学習研究社、2001年） ISBN 4-05-602063-9

関連項目

* 大日本帝国海軍艦艇一覧

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