多々良

多々良（たたら）とは

「多々良」は、日本の伝統的な製鉄法である「たたら製鉄」を指す言葉として知られています。この言葉は、漢字で「多々羅」「鑪」「鈩」「錧」「蹈鞴」「踏鞴」など、様々な表記が見られますが、いずれも「たたら製鉄」に深く関連しています。

たたら製鉄

「たたら製鉄」とは、日本古来の製鉄技術であり、砂鉄を原料に木炭を燃料として鉄を生産する方法です。この製鉄法は、炉に空気を送り込むために「鞴（ふいご）」という道具を使用することが特徴です。「多々良」という言葉は、この鞴を踏む動作（踏鞴・たたら）に由来するとされています。

多々良場

「多々良場」は、たたら製鉄を行うための施設、つまり製鉄所を指します。この場所は、たたら製鉄に必要な設備が整えられており、職人たちが集まって作業を行っていました。「たたら場」とも表記されます。

多々良を踏む

「多々良を踏む」という言葉は、足がもつれたり、躓いたりする様子を指す表現です。これは、たたら場の鞴を踏む動作が、足元が不安定な様子に似ていることから生まれた比喩表現です。

多々良に関連する固有名詞

「多々良」は、人名や地名としても使用されています。以下に、その例を挙げます。

人名・姓名

「多々良」は、日本の人名や姓名としても用いられています。「鑪」「多田良」「多々羅」「多田羅」「田多羅」「太田良」など、様々な表記のバリエーションが存在します。

姓氏

「多々良氏」は、日本の代表的な姓の一つで、本姓は朝臣です。周防の大名であった大内氏が、この多々良氏の後裔を自称していました。

地名

「多々良」という地名は、日本全国に存在しますが、ここでは主なものを紹介します。

群馬県館林市

多々良：館林市内の地名。
多々良村：かつて邑楽郡に存在した村で、現在は館林市の一部です。
多々良駅：東武伊勢崎線の駅。

山口県防府市

防府市多々良：防府市内の地名で、百済からの帰化氏族である多々良氏（大内氏の祖）の発祥地とされています。
多々良邸：多々良山麓にある毛利邸（毛利氏庭園）の別称。
多々良学園高等学校：かつて多々良山麓に存在した学校で、現在は高川学園高等学校・中学校となっています。

福岡県福岡市東区

多々良町：かつて糟屋郡に存在した町で、現在は福岡市東区の一部です。
多々良川：博多湾に注ぐ二級河川で、福岡市を下流とし、糟屋郡粕屋町、篠栗町、久山町、須恵町などを流れます。
多々良浜の戦い：南北朝時代と戦国時代に、多々良浜・多々良川周辺で行われた戦いです。

徳島県徳島市

多々羅川：吉野川水系園瀬川の支流である一級河川。

長崎県五島市

多々良島：福江島の沖にある島。

その他

「たたら」という地名は、北海道と沖縄を除く日本全国に存在します。これは、たたら製鉄が各地で行われていた歴史を示唆しています。

多々良 (企業)：熊本県熊本市に本社を置く建設会社。
* 多多良：アメリカ海軍の砲艦USS Wakeが太平洋戦争中に日本軍に捕獲され改名された際の名称。



このように、「多々良」という言葉は、たたら製鉄という日本の伝統技術に深く根ざしており、その歴史と文化を今に伝える重要な言葉であると言えるでしょう。

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