多田広輝

多田 広輝（ただ ひろき）

日本の俳優、声優。1978年10月30日生まれ、奈良県奈良市出身。血液型はO型。現在、劇団夜想会に所属し、多岐にわたる表現活動を展開している。

経歴

奈良県立平城高等学校を卒業後、明治大学商学部へ進学。大学在学中は学生寮「和敬塾」にて生活を送った。寮で毎年開催される演劇祭において主演男優賞を受賞したことが、俳優への道を志す大きなきっかけとなる。この時の審査員であった女優の村松英子氏に師事し、翌年には村松氏が主宰するサロン劇「真夏の夜の夢」にてライサンダー役を演じるなど、学生時代から本格的な俳優活動を開始した。

大学卒業後、さらなる研鑽を積むため劇団青年座研究所に入所し、二年間演技を学ぶ。その後、荻窪を拠点とする劇団シアターブロックに移籍し、三年間舞台を中心に活動。役者としての経験を積んだ後、新たな活動の場を求めて同劇団を退団。野伏翔氏が主宰する劇団夜想会に入所し、現在に至るまで同劇団の主要メンバーとして活動している。

人物・エピソード

画家である堀越千秋氏とは、親交の深い飲み友達として知られている。二人の出会いは、堀越氏が手掛けた絵本「ドン・キホーテ・デ・千秋」の朗読コンテスト（月刊ソトコト主催）に、多田が応募し優勝したことによる。多田は、コンテストの募集記事に掲載されていた堀越氏の写真を見て、直感的に「この人と仲良くなりたい」と感じ、参加を決めたというユニークな経緯がある。以降、数ヶ月に一度のペースで会う間柄であり、時には堀越氏の絵画制作を手伝うこともあるが、本人曰く、手伝いに行くというよりは「ほとんど堀越さんの酒を飲みに行っている感じ」とのこと。このような交友関係からも、気さくで親しみやすい人柄がうかがえる。

主な活動

舞台

青年座研究所の卒業公演「からゆきさん」では主演の多賀次郎役を務めたほか、日本武道館で行われたTEPCO一万人コンサート「黄金の刻」では宮崎役を演じるなど、修行時代から存在感を示してきた。劇団夜想会入所後は、同劇団の本公演やアトリエ公演を中心に多数の舞台に出演。「めぐみへの誓い」の蓮池透役、「俺は君のためにこそ死ににいく」の東大佐役、「愛と不安の夏」のピーター役など、様々な役柄を演じている。また、「平家物語異聞」では共同で脚本と演出を担当し、自身も平知盛役で出演。さらに、「大変な心配」では脚本を手がけ、兄役として出演するなど、演じることにとどまらない創作活動も行っている。夜想会アトリエ公演では、「アンチゴーヌ」のクレオン役や「カンガルー」の老人役といった挑戦的な役も務めている。

映像作品

テレビドラマでは、NHK連続テレビ小説「梅ちゃん先生」やNHK大河ドラマ「八重の桜」に出演。映画においては、脇坂昌宏監督作品「勤王」で主演の三田村伝八郎役を務めたほか、shin監督作品「フローズンライフ」にも石川役で出演し、同作はミルバレー国際映画祭に正式出品された。また、劇団夜想会が製作した映画「誠〜とびだせ新選組」（野伏翔監督）では、舞台版と同じ木村役で出演している。

声優活動

外国作品の日本語吹き替えを中心に声優としても活動しており、韓国ドラマ「ジャイアント」では主人公兄妹の父親であるイ・デス役を担当した。その他の出演作として、「ヒューマン・ターゲット」、「CSI」シリーズ、そしてモモアンドグレープスカンパニー作品の「レ・ミゼラブル」ではジャベールの父親役などを演じている。

その他の活動

前述の通り、ソトコト主催「ドン・キホーテ・デ・千秋」朗読コンテストで優勝している。また、新選組関連の活動にも熱心に取り組んでおり、北区主催滝野川新選組祭りでは主演として近藤勇を演じている。ひの新選組まつりにも新選組滝野川隊として参加し、殺陣コンテストで二度の最優秀賞獲得に貢献している。さらに、新選組研究家の釣洋一氏からの依頼を受け、四谷三丁目の音楽酒房「春廼舎」にて定期的に新選組関連の単独朗読会を開催しており、歴史ファンからも注目を集めている。

このように、多田広輝は舞台、映像、声優、朗読、イベント出演と、幅広い分野で精力的に活動を続ける表現者である。

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