劇団夜想会

1982年、映画監督であり演出家でもある野伏翔によって創設されたのが劇団夜想会です。夜空の下で稽古を重ね、人間存在や魂のあり方を探求したいという、野伏が名に込めた願いが劇団の出発点となりました。

活動の根底にあるのは、「先の見えない時代にあっても、人生には生きる価値がある」という強いメッセージの発信です。設立当初はシェイクスピアやチェーホフ、サルトル、清水邦夫といった古典や新劇の系譜を汲む作品を中心に上演していました。

しかし、1995年の『同期の桜』公演を境に、劇団の方向性は社会的なテーマを扱う作品へと大きく転換します。この『同期の桜』は、靖国神社境内に特設された舞台での上演も行われ、注目を集めました。その後も、特攻隊員の心情を描いた『俺は、君のためにこそ死ににいく』や、演劇としては初めて北朝鮮による日本人拉致問題を取り上げた『めぐみへの誓い』など、現代社会の困難な問題に切り込む作品を意欲的に発表しています。中には、自民党本部という異例の場所で上演を行った作品もあります。

特に2010年に紀伊國屋サザンシアターで上演された『めぐみへの誓い』は、拉致問題を正面から扱った先駆的な作品として、演劇界に一石を投じました。

劇団夜想会は、舞台芸術活動を行う「劇団夜想会」の他、映像作品を手掛ける「夜想会シネマプロジェクト」、そして俳優や声優の育成・マネジメントを担う「YSKプロダクション」の三つの部門で構成されています。

社会貢献活動にも力を入れており、劇団員は毎年春と夏に、北朝鮮に拉致された日本人を救うための市民団体「救う会埼玉」が主催する街頭署名活動に積極的に参加しています。

現在、劇団は『めぐみへの誓い』の映画化プロジェクト「めぐみへの誓い-奪還-」を進行中です。このプロジェクトを実現するため、広く企業や個人からの協賛・資金支援を呼びかけ、資金募集が国民的な広がりを持つことを目指しています。

劇団を支える人々としては、団友に原田大二郎氏、川上麻衣子氏らが名を連ね、石村とも子、宮内敦士、佐羽英、多田広輝、辺見のり子、森本優里、半井小絵、藤井弘平、北煬子、稲村幸助、原田晃希、宇塚彩子、渡辺由佳子、秦まりな、中西琴、大塚悠介、芹沢幸紀といった劇団員が所属しています。代表は設立者の野伏翔氏、プロデューサーは石村昌一氏が務め、ダンス、歌唱、殺陣などの指導者も劇団の活動を支えています。

これまでの主な公演記録は以下の通りです。

本公演



アトリエ公演


  • - 2005年 『焼け跡の女侠』(於:代官山ASB)出演:山前麻緒、森田和正、宮川葵、加藤隼平、佐羽英、畠垣洋司、溝口成美 他
  • - 2005年 『恭しき娼婦』(於:アトリエフォンテーヌ)出演:山前麻緒、鴨川ゆみ子、畠垣洋司、杉本輝昭、小川潤、鈴木雄策、大野誠、二宮康士 他
  • - 2006年 『戦場のピクニック』(於:アトリエフォンテーヌ)出演:若杉千弘、野宮可奈子、内田悠子、溝口成美、杉本健三、野々山郁也、早川久美子 他
  • - 2007年 『キネマの天地』(於:アトリエフォンテーヌ)出演:山前麻緒、佐羽英、内田悠子、古谷美世子、拝田ちさと、加藤隼平、杉本輝 他
  • - 2009年 『眠れる森の美女』(於:アトリエフォンテーヌ)出演:佐羽英、大野誠、杉本輝昭、木村彩花、萩原宏樹、拝田ちさと、辺見のり子、多田広輝 他
  • - 2011年 『ミュージカル誠That’s新選組~志士たちの遺言~』(於:アトリエフォンテーヌ)出演:佐羽英、大野誠、拝田ちさと、辺見のり子、多田広輝 他
  • - 2011年 『アンチゴーヌ』(於:銀座みゆき館劇場)出演:多田広輝、杉本輝昭、木村彩花、秦まりな、辺見のり子、拝田ちさと、佐藤輝 他
  • - 2011年 『カンガルー』(於:銀座みゆき館劇場)出演:佐羽英、辺見のり子、岡安淳子、藤井弘平、本田昂也、小見竜二、多田広輝、拝田ちさと、佐藤輝 他

また、劇団関連の映画作品としては以下があります。

映画



これらの活動は、日本の現代社会が抱える拉致問題や政治状況(自民党との関連など)といった重要なテーマと深く関わっています。

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