大ブルガリア (政治概念)

大ブルガリア

大ブルガリア（ブルガリア語: Велика България）とは、ブルガリアの歴史的領域、および民族統一主義・民族主義運動における領土拡張の概念を指します。具体的には、ドナウ川からバルカン山脈までの平原、南北ドブルジャ、ソフィア周辺、モラヴァ山地のピロト、ヴラニェ、北トラキア、東トラキアの一部、マケドニア地域のほぼ全域を、ブルガリアの本来の領土とみなす考え方です。

注意点: アゾフ海北部に存在した古・大ブルガリアとは直接的な関係はありません。

歴史

大ブルガリアの概念は、ブルガール人のバルカン半島への侵入、特に7世紀のクベルによるマケドニア支配に端を発します。しかし、この概念が明確な政治的主張として表面化したのは、1878年のサン・ステファノ条約によって大ブルガリア公国が成立したことがきっかけでした。

サン・ステファノ条約とベルリン会議

サン・ステファノ条約によってオスマン帝国から広大な領土を獲得したブルガリアでしたが、その後のベルリン会議によって領土の一部をオスマン帝国に返還せざるを得なくなりました。この結果、ブルガリアは、オスマン帝国領に残された地域を再統合するという目標を掲げるようになり、内部マケドニア革命組織（VMRO）などの団体が結成され、20世紀半ばまで活動を続けました。

マケドニア問題

20世紀初頭、マケドニア地域の支配権は、オスマン帝国、ブルガリア、ギリシャ、セルビアの間で激しい争奪戦が繰り広げられました。これらの国々は、1912年から1913年にかけて第一次・第二次バルカン戦争を戦い、第一次世界大戦においても、セルビア侵攻の地としてマケドニアは戦場となりました。

第二次世界大戦

第二次世界大戦中、ブルガリアは枢軸国に加盟し、その見返りとしてナチス・ドイツから領土的な利益を得ました。クラヨーヴァ協定によって南ドブルジャがルーマニアからブルガリアへ返還され、さらにギリシャ領の東マケドニアと西トラキアの一部、ユーゴスラビア領のヴァルダル・マケドニア（現在の北マケドニア）がブルガリアに割譲されました。しかし、これらの領土は、南ドブルジャを除き、枢軸国の敗北とともにブルガリアから失われました。

大ブルガリアの概念は、現代のブルガリアにおいて、歴史的なアイデンティティやナショナリズムと深く結びついており、領土問題や周辺国との関係に影響を与え続けています。

関連項目

内部マケドニア革命組織
内部トラキア革命組織
内部ドブルジャ革命組織
内部西方失地革命組織
オフラナ

外部リンク

Bulgaria includes various maps of the extent of Bulgaria over its history.
* Yugoslav - Bulgarian Relations from 1955 to 1980

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